魔法学院ー1日目 朝のゴタゴタ
目が覚めると、まだ朝の5時だった。
今日から、魔法学院に通い始める。
つまり、今日から一日が34時間に増えることになる。増えてもあまりうれしくないのは僕だけかもしれない。まあ、増えた時間も、大方勉強に使うんだから仕方ないよね。
まだまだ働いていない頭を働かせようと、洗面所に向かった。
顔を洗い終わるとコーヒーを淹れる。ただ、電動マシーンを使う。これは仕方ない。パンの仕込みや下準備はよく料理をするのと、おじいちゃんの店を手伝っていたので手馴れているが、コーヒーの淹れ方はまだ習ってない。
「朝ごはんは何にしよ」
今朝は、父さんも母さんも出勤日ではないのでまだ寝ている。母さんが起きるのを待っているとおじいちゃんの店の開店時間に間に合わないので、今日は自分で作ることにしたのだ。
冷蔵庫には卵があったので、目玉焼きにしてパンと一緒に食べることにする。あの、ラピュタ風の食べ方は、今でもちょくちょくやりたくなる。まあ、パンの上に載せるのが結構難しかったりするんだけど、そこは慣れで何とかやっている。
目玉焼きに火を通している間にコーヒーが準備できたのでマグカップにそそぐ。夏とはいっても、夜明けすぐは少し寒い。特にうちは、朝方はビルの日陰になるから、必然的にそうなる。
そんな感じでゆっくりしているうちに、パンと目玉焼きができたので、それをきれいにパンの上に載せる。
うん。今日は一発で乗せられた。
早速目玉焼きパンを頬張る。
ザクザクッと音を立ててパンを噛み砕くと、少しだけ含むことに成功した白身があった。
うん。パンの甘さと、白身の淡白な味がいいんだよね♪
さらに、コーヒーを少しだけ口に含むと、やわらかい!
ふにゃふにゃと柔らかくなって、でも、甘さが苦味と混じって、ちょうど良くなる。
それを食べながら、魔法学院を思って、胸を馳せらせる。
朝食を食べ終わって、魔法学院への用意をする。
……そういえば、何もってけばいいんだっけ?
そう思っていると、セロが足元にきた。
「ルーレット、今日、魔法学院に行くのに必要なものってわかる?」
思わず持ち上げて聞いてしまう。
「ミャ!」
どうやらわかるようだ。
「ミャ〜ア」
セロがジタバタしている。あ、ごめん。セロ。僕が持ったままだと動けないよね。
そう思って、床に下ろす。
セロは分かっているのか、その証拠……かはわからないけど、机の上に飛び乗って、歩き回り始めた。
「ミャ」
そう言って、まずは筆箱のところで立ち止まった。
それを僕が取ると、次は、教科書が積まれているところで立ち止まった。そして、尻尾を上下にササササと動かし始めた。それが何を指しているのか最初はわからなかったが、そこに積まれているのが初級編の教科書だったのを思い出して、
「これを入れればいいの?」
そう聞いた。
合っているのか、セロが頷く。
その教科書群を一冊ずつ床に置き終わると、セロが本棚に顔を突っ込んでいるのが見えた。ちょっとかわいい。
そう思っていると、本棚から何かの袋を引っ張り出してきた。
よく見るとルーズリーフだった。
それを教科書の上に、筆箱と一緒にして置く。
すると、肩の上にセロが乗ってきた。
どうしたのかと思っていると、
『克人様、
耳元でそう言われたので、その通りにした。
いわゆる念話というもので、最初の頃こそ、僕に驚かれると思って使っていなかったらしいが、今は必要な時に適宜使っている。
僕が出し入れをしたのを確認して安心したのか、セロは僕の方から降りて、なぜか床に座って丸まってしまった。
そんな可愛いセロの姿を横目に見ながら、どんどんと入れていく。
それにしても、この
そんな風に黙々と作業をしている時、不意にセロから魔力が発せられていることに気がついた。やっぱり、こちらでは魔力を一気に放出することができないのか、少しづつしか出せないから、必然的に僕が気づくのが遅くなってしまった。
「セロ、どうしたの?」
「……」
「セロ?」
『克人様、結界を張っているだけなので。取り敢えず、私の神経を乱さないでください。もう少しで終わりますから』
そう言われてしまった。そう言われてはどうすることもできない。すでに用意し終わっていたので、読みかけだった趣味で読んでいる本を読む。久しぶりに読む普通の本だ。心行くまで楽しもう。
どれぐらいの時間が過ぎただろうか。
そろそろ終わるんじゃないかと思った頃に、魔力が弱くなった気がした。
『克人様。申し訳ございません。お騒がせしました』
そう言って、今度はかなりダラーンとした姿勢で寝そべった。
よっぽど疲れているのだろう。さすがに、セロをこのまま放置しておくのは、なんとなく憚られたので、おじいちゃんに相談することにした。
すると、「それなら、
そんなことはいいとして、早速実践して見ることにする。
はじめに、
次が、その画面の設定のところで、空気と生物の欄をオンにするらしい。ざっと眺めて、そのボタンを探し出した。それは、まさにWIーFIの設定画面にある切り替えボタンに似ていた。というより、ほぼ同じだった。
やることはこれでいいらしい。
なぜか、この
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