第101話
1時間近く経っただろうか?ヤマトは休むことなく戦っていた。ボルズの攻撃にも慣れてしまったようで完全に見切って攻撃をいなしたり避けたり。しかし避けるだけでなく、かなり攻撃を加えているのだが倒すことができない。気絶は一度入ってその時に昔あったロボアニメの暴走状態みたいな勢いで攻撃を入れていたが、それでも倒せなかった。さすがのヤマトも疲れというより飽きが来ているようで、顔に覇気がない。
たまに他のプレイヤーが隙を突いてヤマトを狙うが返り討ちに遭っている。
観戦している方も少しダレてきていたのだが、ヤマトが動いた。急にボルズと距離をとり始めた。
「さすがに飽きたのかな……ヤマトさん」
カレンがジュースを飲みながら言った。一瞬席を外してたのでたぶんリアルの方でもジュースか何かを持って来て飲んでると思う。
「かもな……3時間長いよな」
「ステージも思ったより広くないし、結構早くヤマトさんが全員倒して生き残っちゃうと思ったっちゃけど……」
1万人も参加者がいるからだとは思うけど制限時間3時間はやり過ぎだと思う。だいぶ減ったとは言え、まだ1000人も残っている。
しかし、この状態の原因は……。
「たぶんヤマトせいだと思う……」
「なんで?」
カレンはわからないみたいだが、ソラノは俺の横でうんうん頷いてる。
「この大会で出てくるモンスターってボルズを見てわかると思うけどクッソ強いやん?ほんとは1位の人も強すぎるモンスターから逃げ回って戦場をかき回すか、下手すればやられてターゲットを他のプレイヤーに移すようになってると思うんよね」
「ヤマトさん戦っちゃってるね」
「そう。んでヤマト自身もほんとは他のプレイヤーを狙って、倒したりしてかき回して数減らしていかないといけないんだけど」
「……ヤマトさん戦っちゃってるね」
「そういうこと」
「なるほどね」
カレンは少し呆れ顔で言った。
「でも、距離とったからもしかしたら状況変わるかも」
ヤマトはボルズから十分に距離をとるとメニューを確認していた。そして街の中心に一気に走り始めた。ボルズもそれを追いかける。
「ヤマト選手!ボルズ攻略をあきらめたのかぁ!?距離をとって、これは2位の、らむ選手方向へ向かっている!当然その後をボルズが追いかけていきます!」
らむ?えーっと、青王杯の準決勝でヤマトにやられた人か?試合前の控室でめっちゃヤマト殺すって言ってた人……。
向かう先の街中心部は乱戦模様。クリスタルで出来たタワーみたいな城、インドラグルズ城の前でモンスターが2体と大勢のプレイヤーがやり合っていた。
モンスターはイベントのボスだった女性型の魔神と無駄に強いのに雑魚並みによく出てくる死神だ。こいつらも強化されているみたいだがプレイヤーは攻撃を上手く避けながら戦闘を繰り広げている。これただヤマトのせいで膠着してた感じだと思ったけど残ったプレイヤー自体も相当上手いせいなのもあるな……。
しかしそれもここまでなんだけどね!!みんな!今から
ヤマトは大通りを出て城まで一直線に駆けていく。その後ろを大剣を肩にかけて追いかけるボルズ、運悪くその道中にいたプレイヤー達は襲われていく。一撃でやられるわけではないが大ダメージをぶち込まれて他のプレイヤーに狩られるか止む無く撤退するかだ。ヤマトをメインで追いかけているので一撃入れると去ってくれるのが幸いか。
ヤマトの視界に城前の戦闘が入る。
ブーストダッシュ。
少し回復していたガンドラウスの鎧がみるみる減っていく。
「来たあぁぁぁぁぁぁぁぁヤマト選手だぁああああ!!!」
ヤマトはそのまま魔法の詠唱をしていたプレイヤーを突き刺す。屠ってもブーストはやめない。
目の前にらむを捉える。らむの格好は以前に見た時とは違ってふんわりとしたドレスを着ていた。そこからたまに見える脚がちょっとエロい。得物は青王杯の時の
同じ武器を使っている者として感心していたら、次にらむを見た時にはヤマトのクニツクリがらむの腹にめり込んでいた。
容赦ねぇ……。と思っていたが、防御を上げていたのか着ているドレスの装備のおかげなのか一撃死は免れていた。
するとソラノが口を開く。
「今あのらむって人、位置をずらしてワザとお腹に食らってた。結構上手いですね」
「へぇ~」
前回も準決勝まで進出していた人だ、そう言ったプレイスキルなどは持っているんだろう。
「ヤマト選手対らむ選手!!また宿命の対決だぁ!!」
青王杯終わった後らむさんの事ちょっと調べたらしょっちゅうヤマトと当たって負けてるからほんとかわいそう。これで宿命って言われるのも嫌だろうなぁ……今回は無理に戦わなくていいし敗退は免れるかも。
と思っていたが、着地した後回復の為にその場を離れた瞬間背後からボルズに一撃を食らった。
すでにヤマトからデカい一撃を食らっていたらむは絶命。
なんだか、らむさんが「え?」って言ったのが聞こえた気がする……。
らむぅぅぅぅぅぅ!!!
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