第72話
テラの思考がわかったなら、あとはその隙を突くだけだ。
天雷剣を使わせる。これでテラは動けなくなり、そこを一気に攻め立てればテラは崩れる。本当なら雷天黒斧を使えばすぐに使ってきているかもしれないが、それは叶わない。そうすると使うタイミングは一つだけ……トドメだ。
俺と普通に戦って、最後の一撃の時に使ってくる……。つまり俺が負けそうにならないといけない。
リロードを済ませて狙いを定める。
「雷天黒斧出しませんカ……」
返事の代わりに発砲する。
当然そんな弾はシールドで弾かれる。
ていうか、自分の家でやってる時点で結構負けそうなんですけどね!必死に足掻いてるだけで結構ヤバめ!気を抜くと攻め込まれて負けそう。
事故らない程度にダメージを受けるなんてただ負けるよりも難しい。でもそれしかない。
ちょっと攻め気味にいくか……。いい加減この攻防も飽きてきたし……。
俺はドラゴンテイルの鉄球を回し始める。チャージ技みたいなものでこれでタイミングよく鉄球を当てると大ダメージが入る。
「ハァ……」
テラは大きく溜息を吐いて両手剣を構えた。
すまんね。ちゃんと相手できんで。
俺も左手で銃を構え直す。
しばしの静寂。集中すると、周囲の歓声なんかは次第に小さくなっていって、聞こえないのと同じになる。
俺は動けない、テラの動きを待つ。
テラはスキルを使って飛び出した。一気に俺の目の前まで接近する。
発砲。五発。
テラは三発避けて、二発はシールドで受ける。
それを見てまた発砲。
それをテラはサイドステップで避ける。が、それはわかっていた。
わかっていたからもう一発横にずらし、サイドステップの先に発砲する。
見事にテラの脇腹に命中する。そのせいで少しのけ反った。
追撃で二発。弾倉が空になる。
一発が腹のど真ん中に当たった。
俺はドラゴンテイルを回すのを止め、半歩だけ下がる。
それを見たテラは体勢を立て直しもせずに地面を蹴った。俺がバックステップをしつつリロードすると思ったんだろう。
「ざーんねん!」
「!!?」
「オルァ!!!」
テラは目をかっ広げて驚きの表情。そして俺はドラゴンテイルを普通に振った。鉄球が音を立ててテラ目がけて飛んでいく。
剣で受けることもタイミング的にできないだろう。そしたら受けるしかなくなる。
テラは盾を構えた。
「ウゥッ!」
鉄球がシールドに思い切りぶつかり、同時に砕ける。そして盾特攻でダメージが入る。
しかし、テラはひるみもせず片手で剣を振っていた。うそだろ!?
「クッソ!」
両手剣を片手で振ったせいもあって、精度が落ちて俺の左腕にざっくりと剣が斬り込む。それでも俺のHPゲージが二割ほど削られた。危なかった……。やはりダイレクトに食らうとダメージがデカい。
ライジングスキルとブーストジャンプを使って今度はほんとにバックステップ。リロ……――――――――。
「!?」
「逃がしまセン!!」
気が付くと目の前にテラのニヤリ顔があった。ラグったか!追いかけてきてるのが見えなかった。
テラは剣を斜め下から振り上げてくる。
ここでリロードをやめたらもう一度同じように食らう!なら、もうそのままリロードしてこの一撃を食らうしかない!!
「くそぉあ!!」
俺が叫ぶとテラの両手剣は俺の右わき腹から斜め上に滑って行った。血しぶきのエフェクトが走る。
「くっ……!!」
着地。と同時にリロードが終わる。俺のHPゲージはまた一気に削られ、残り三割。さっきのモロに入ったか……。
下から振り上げたせいでテラは両腕をあげている。そのガラ空きの胴に発砲する。六発。
回避行動に入ったが四発が命中。流石にテラも追撃できずに距離をとった。
一個でも判断を誤ると即死する。上手く息が出来ていないのか心臓がバクバクして気絶でもしそうだ。落ち着けー。俺……。
「オー!凄いです!カケル!!」
テラは自分の撃たれた箇所を押さえながら言う。しかも笑ってる。
「……あんたもな!」
とりあえず適当に返しながらリロード。
「見てくだサイ!!オーディエンスも興奮してマス!!」
たしかにそう言えば歓声がすごい事に気が付く。まぁ準決勝だしね。カレンたちはいつもの席で見られてるんだろうか?振り返って確かめてみたいけどそんなことしたら一瞬で斬り殺されそう。
「だから?」
「出しまショウ!雷天黒斧!これが最後デス!」
「なんで!?」
「全力を出せずに負けることになるカラ!!」
テラはスキルを使い、大きくバックステップした。
天雷剣か!?キメに来るか!?違うか!?もし天雷剣なら俺もここで行かないと間に合わなくなる。
決めろ!!!!!!迷うな!
そう思った瞬間には、スキル一弾入魂を発動させていた。攻撃力三倍。スキルとリロードが一定時間不可。残弾は強制的に一発になる。
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