【旧版】ニナ・ヒールドと空飛ぶ箒

作者 逢坂 新

84

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★★★ Excellent!!!

魔女だからって、簡単に箒に乗れるわけじゃない。お話はそこから始まります。前提として当然成立すると思ってしまってた根本的な部分(魔女なんだから箒くらい乗れるっしょ)を、まずは崩されます。そこで、どういう原理で飛ぶのか、といった細部の説明が、こちらの頭の中に立ち上がる世界をより強度のあるものにしてくれて、そんな高密度の中を、主人公ニナの目線で読み進めていきます。
そのニナさんが腹の内をこちらに開示するのは早く、あれ、この子全然だめじゃん(それはこちらが切なくなる程)、とすぐに心を許してしまい、結局はそれが彼女に感情移入し、応援し、一緒に怒ったり(ニナさん案外短気なんだもん)へこんだりすることに繋がり、だから作中、思いがけない彼女の変化に触れると、そうか、そんなふうに思うんだ、強くなったね(ニナさんなりの強さです。これがまたよかった!)なんて思いつつ心を打たれるのでした。
「こうなるだろうな」が通用しない世界を目の前に、ことの成り行きを最前線で猛スピードで、なのに緻密ですごい情報量を含んだ突風みたいなものに顔面煽られながら(まじで超あおられるよ)読み進める、という、結構な体力を必要とする作業をせねばならないのに、それを純粋に楽しいと感じるのがとても心地良く、小説を読むのってこういうののためだな、と思ったりしました(幸福)。

★★★ Excellent!!!

 ただのファンタジーじゃない。みんなの好きがきっとある。
 成長性のある一芸主人公、天才のふわふわ先輩、ピーキーな特化型専用機、二つ名!魔法にバトルに百合!…あ、百合描写はまだないから、私の妄想だったわ。(でも、タグにはあるし!)
 どっしりと設定を支えてくれる世界観も良い。頭の悪い私も、ウィチペディアとか地の分でストレスなく、フィーリングで「こんな世界」っていう認識がいつの間にか出来上がってる。
 いろいろなシーンが、私の脳内アニメーションで繰り広げられてまして、「ニナが目を見開いていて、紅茶のたくさんの水滴がスローでキラキラと輝いてるカット」とか「夜空に粒子振りまいて跳ねる箒」とか、ほんとに綺麗なイメージで出来上がってる。私の妄想がとどまるところを知らない。
 トップの『魂を「掃き散らして」空を飛ぶ』が最たるものだけど、言葉のチョイスがツボ。なんかいいなって。キャラ達が話す言葉にもいちいち感動して、私はとても忙しい。

★★★ Excellent!!!

空飛ぶ箒を競技としているところが斬新だと思い読み進めると……
まずナコト先輩が非常に男気溢れる女子で心引かれました!
カッコイイ女の子はとても魅力的だと思います。
そして、箒で空を飛ぶ描写はとてもリアル! 途中、主人公が墜落するシーンがありますが、高所恐怖症の自分はちょっとゾクッとしましたね、えぇ(^^;
さらに箒での競技は、まるでF1レースや戦闘機のドックファイトのような迫力を感じました。
しかも世界観としては、ディ○ニー映画のような、おとぎ話のような、ほんわかした印象を受けます。
そのおとぎ話的な世界観で、ガチ競技が織り交ぜられるので、この緩急は見事だと思います!

★★★ Excellent!!!

時間って、人が感動を覚えるときの重要なファクターだと思っています。

十年ほど前を回想する形で(正確には、箒の解説で)始まる物語は、必然的に主人公のニナが関わった人がたどるその後の十年を内包して進みます。

語られる物語だけではなく、おそらく語られない十年を想像せざるを得ない。そして、その空白に僕なんかは心動かされたりします。

上手いよなと思うのは、二十年でも三十年でもないところで、回想を始めた時点でのニナもまだ二十代半ばだと言うことです。

回想している、つまり語り部であるニナも、何かを引退するような年じゃないことなんです。

今のニナは何をやっているの?

その手がかりを求めてページを繰る指は止まりません。


この作品の魅力は他にもまだまだあるのですが、書き連ねるとどうにも上手く纏まらない。
だって当たり前のように魅力が端々に転がっているんだもの。

現実世界にモブがいないように、この物語にモブはいません。

ニナの目が、僕らの脳に、モブという記号を使う事を許さないのです。

目の前で展開するニナの物語に平行して、知らず知らずのうちに、僕らの脳は語られない物語を勝手に展開し始める。

だからこれは、作者が提示し、読者が完成させる物語だと、僕なんかは思うわけです。

★★★ Excellent!!!

 現在の最新話ヘルター・スケルター(3)までのネタバレを含みます。

 このお話には飛びぬけて面白そうな要素がいくつもあります。それは魔法の箒で空を飛翔する描写そのものの軽やかさであったり、それを支える確かな魔法や世界観の作り込みであったり、自己評価の低い主人公の視点から語られるきらきらと輝く風景や登場人物の姿であったりしています。
 これらの要素は絡み合って、一つの結末へ向かって、どんどんと主人公の背中を押していくのでしょう。
 主人公のニナは魔法学校の落ちこぼれで、基本カリキュラムである飛行実習でいきなり事故死しかけ、あわや退学を言い渡される直前にまで追い込まれている、今はまだ「なにものでもない少女」でしかありません。けれど、一話冒頭の描写からも分かるように、それを語る未来のニナは、きっと「なにものか」になれたのだと、そう思わせる語りになっています。

 何よりも上手いのは、前述したとおり視点を持つ主人公であるニナの自己評価が低いことでしょう。ともすればいじけた雰囲気になってしまいかねない要素なのですが、ニナは自分の周りにいる人達の優れた点や美しい点を次々に見つけ出していくのです。
 その混じり気のない素直な賞賛の視点は、これから先でニナ自身が優れた行いをした時、そしてそれを周りの人達に賞賛された時にこそ、大きな報酬となって返ってくるのだと思います。
 それは例えば、ナコト先輩に「あなたは才能がある」と言われたときのように。

 ニナがこれから先でどんな素敵な成長をしていくのか、楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

キャラクターには色々な個性があり、まず作中に登場する人物を説明するとなったときにその個性を上手く伝える方法を僕は考えてしまいます。
作者様がモンスターハンターの最新作に熱中している(していた)ようなので、登場人物をモンスターハンターの武器に例えるとしましょう。
例えば主人公のニナ・ヒールド。彼女は狩猟武器に例えるならハンマーです。作中は彼女の視点で物語が進んでいくわけですが、物語のところどころに彼女の意思の強さというか、秘めている爆発力のようなものが随所に感じられます。いつかそのポテンシャルが炸裂して読者に爽快な読後感を与えてくれるとしたらまさにハンマーのようなキャラクターだと言えるでしょう。

ナコト・ヴィルヘルミナ・フォン・ユンツトは太刀です。ニナが秘めているのが爆発力であるならば、彼女は抜き身。全てを剥き出しにして生きているように見える人だなという印象ですが、剥き出しすぎて逆にまだ何か隠れているんじゃないかというミステリアスさも併せ持っているといういい加減にして欲しいレベルの欲張りキャラクターだといえるでしょう。

ですが。
この作品の中にはもっと欲張りなキャラクターがいます。
片手剣のように小回りが効き、双剣のようにスタイリッシュで、ランス、ガンランスのような圧倒的な安定感まであり、ボウガンのような火力で読者の心を綺麗に吹き飛ばすキャラクターが。
それがクリスティナ・ダレット先輩です。多くを語りすぎるとネタバレになってしまうので語れませんが、とにかく可愛すぎるの一言に尽きます。
いや詰め込みすぎだろレベルの属性過多になっている彼女ですが、それがうまい具合に調和して、上記のような武器のいいところが全て出ているというまさに芸術作品のようなキャラクターになっています。
もはや何の武器なのかは僕にもわかりません。片手剣と双剣とランスとガンランスとボウガンをくっつけた絵を想… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

 ギャグじゃなくてかなりシリアスに落下してます。どう見ても死ぬやつです。作中最初の飛行シーン、ただの練習というか普通の授業でのことです。うそでしょ……まだなにもしてないよ主人公……。

 主人公のニナ・ヒールドさんは、魔法の学校に通う魔女の卵です。なのに空を飛ぶのはへたくそです。田舎から出てきて寮で生活していて、あと若干貧乏っぽい感じです。いいとこなしです。でも負けません、彼女は持ち前の明るさと気丈さで一生懸命頑張るのだと、そうなるのかと思いきや全然そんなことはなく普通にうじうじします。なにこれよわい……。

 こういうシチュエーションの女の子は普通「何はなくとも元気が取り柄!」みたいなのが大体で、そのおかげでなんかいろいろあって最終的にイケメンとかに囲まれるのが古式ゆかしい作法なのですが(ごめん適当言った)、ニナさんにはそれがありません。
 元気もイケメンもないままあれやこれやをひとり勝手にコンプレックスとして背負い込んで、つまり遠慮がちというかもうおっそろしく自己評価が低くて、そんななのでそのあと出てきた全校生徒の憧れ的な存在、奇跡の天才美少女ナコト先輩にいきなり見初められて口説かれてそして簡単に即落ちします。なにこれちょろい……。

 そんなよわくてちょろい生き物、普通の女の子であるところのニナさんの、その生きている世界はものすごく狭いです。
 設定的には緻密で壮大で、どこまでも広がりを感じさせるファンタジーなのに、でもその隅っこのごくごく一部分、『ニナさんの目を通して見る世界』がこのお話の本当の舞台です。世界の狭さ。聡い彼女はそれを自覚していて、ときおり広い世界にふと想いを馳せるくらいの賢さはあって、でも足りないのは経験です。
 世界が広いことは知っていても、でも実際にはそれを見たことのない少女。ときに学校そのものが世界のすべてであったり、友達の間だけで通じる「お… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

粒子を扱ったSFに出くわしたとき、私はつい身構えてしまう。古くから空想上の存在として扱われてきたミノフスキー・ゼッフル両粒子然り、またこのSURF然りである。そして出てくる「反射する性質」との描写が、私の期待を大いにかきたてる。なるほど、反射するとなればいずれ干渉するに違いない。または観測をトリガーとして波動関数の収縮が発生するのか。俄然興味は尽きない。
また、ubiquitous(遍在)する粒子が同時に濃淡を伴って偏在するとするのも興味深いポイントだろう。熱力学に言及するまでもなく、何らかのエネルギーの干渉状態がこの偏在をもたらしていると考えるべきだろう。今後、この世界におけるエネルギー単位である『マナ』がどのように記述されていくのか、この点も注目して続編を待ちたい。

★★★ Excellent!!!

このレビューはネタバレがありますんで、先に本編を読んだ方がよろしいかと。



「あ〜〜〜〜、ファンタジー粒子の飛んでる世界に生まれたかった〜〜〜〜」という我輩の欲望を冒頭から刺激され、本能の赴くままにプリンターをスイッチオン!

吐き出されたページとご対面。空行の数に戸惑いながらも、まずはよろしくお願いしますと、いつもの儀式ですw

で、この冒頭ですか……。ええ、わかります。好きですよ、引用。要出典にクスリ。
などといった調子でテンポよく読ませていただきましたが、次のセクションにて、我輩のアンテナを刺激するワードがちらりと。

……干からびて張り付いているポスター?w

なんですか、一回湿って乾いたってことですかw
彼女たちどうやって部屋の湿度を上げたんでしょうか? 汗だくで何か、どんなことやったんですかw

とまあ、ニヤニヤのテンションで読み進めます。読みやすいですね。活字が苦手な我輩でもスイスイいける。で、巻き戻しという表現で一瞬、回想時点(十年後)に戻ったのかと思いましたがそういうわけでもなく、「出た〜〜」と我輩のフィルターが何かをキャッチ。
ちっ。パワハラ教師ですか……見るからに老害ヤー!
(あ、でも見た目ほどじゃない。真面目か。ていうかこの子型落ち着てる、熱い)
そして画面が動き始めます! 結構ガチで飛んでる!
そこから飛んで跳ねての息を呑む展開がしばらく続きますな。スピード感あふれる感じで、よきかな。よきかな。
飛べる仕組みを読みながら、後ろから突風が吹いたらヤバそうとか、どうやって止まるんだろうなんて考えつつ、パンツが見えそうで見えない。
ていうかそれどころじゃないwww
え、ていうかこの子、自分の腕前うんぬんより前に道具がハンデすぎませんかなwwwwwwエクストリームスポーツwwww
壊れたー!落ちたー!うわ死んだわこの子。天国からの回想やったんや。
し… 続きを読む