レベル2 え?現代的ですね!?
スーツのまま寝てしまった彼女は、毎朝、時間通りに鳴る目覚ましに起こされた。
「今日から休みだからまだ寝れ...あぁぁぁ!!」
彼女は目覚まし時計を待ったまま、何気なくベットの反対側に置いてある全身鏡で自分を見ると、昨日のあのままで寝ていたことに気がついて大声を上げてしまった。
(やってしまった...)
自己嫌悪とお気に入りのスーツがシワになってしまった落ち込みとで2度寝をする気が無くなり、いつもの時間に起きてしまった。
「今日は遅く起きようと思ったのに」と、彼女の呟きは某サイトで呟かれた。
仕事に行く時の早起きとは違い、今日から休みだという早起きは時間の流れや、部屋の空気が違うように感じられた。
あの後、彼女はゆっくりと朝風呂に入り、今まで片付けるのが億劫だった部屋を綺麗にした。
部屋は8畳ワンルームで、一人で住むなら少し広めだが掃除もすぐに終わる。
午前中はシワになったスーツを含めワイシャツ等をクリーニング屋へ持って行ったり、食材を買ったりと用事を済ませることができた。
休み初日にしては雲ひとつも無い晴天に恵まれたが、それは嵐の前触れだった。
お昼ごはんを食べて何もやることが無く、スマホを弄り床でゴロゴロしていると、「ピンポーン」とチャイムが部屋に鳴り響いた。
ネットで買った物もないし、近所から苦情を出されるような事もしていないし、と、玄関のドアを開けたら青と白のストライプの線が入っている服を着た宅配業者が立っていた。
「蒼井さんのお宅で良いでしょうか?ここにサインを」と、流れ作業のように彼女に筒状の小包を渡し去っていった。
筒状の物は金の紐で縛られていたので実家から送られてきたものでもないし、ネット通販から買ったものでのないので、差出人を確認すると空欄で書いていなかった。
「えー??なにこれ?」
思わず口に出してしまったが、中身が気になるところなのでリビングに戻り、金の紐を解くと巻物になった。
「これって、中身を見ても字が分からない類じゃないの?」と、謎の巻物の中身を見ると
《 蒼井夜子様
この度は当社の冒険書を開き頂きありがとう
ございます。
この冒険書は各世界の言語で書かれています。
選ばれた冒険者の国の言葉で内容が書かれておりますのでご安心ください。
尚、レベルアップする事に古くなった冒険書の内容は消えてしまいますのでご注意を。
冒険へ旅立つ合言葉は「何歳でも夢は叶えられる」です 》
彼女はまた某サイトで呟いた。
「なんて現代的なの!?」と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます