14.ファンタジーを書くのなら(魔法詠唱編)
さて、魔法の詠唱についてです。ここではある程度簡単に作るためのコツを述べたいと思います。
そもそも「詠唱」とは読んで字のごとく、「詠み」「唱える」もの。詩を読むような形で作ることが良いと思います。
さて、それでは意識するポイントをまとめてみましょう。
1.何をしたいのかを意識する
その魔法で何をしたいのか。敵を倒すのか、何か神秘的な現象を引き起こすのか、そのためにどこから力を引き出すのか。それらを意識することである程度の言葉は決まってきます。
例えば、火を使って敵を倒すとしましょう。
「火で」「敵を」「倒す」
その「火」は精霊の力を借りるとしましょう。
「火の精霊の力を借りて」「火で」「敵を」「倒す」
さて、これで準備はできました。続いてはこれを修飾していきましょう。
2.言い換えを意識する
言葉と言うものは便利なもので、色々な言い換えを利用していくらでもバリエーションを作れます。
先に設定した「火の精霊の力を借りて火で敵を倒す」をもう少しカッコよいものにしてみましょう。
「火の精霊」の部分はその世界で設定している存在があるのならその名前を使う、あるいはそれを匂わせる言い方に置き換えられます。例としてサラマンダーとしておきましょう。
「火の精霊サラマンダーの力を借りて」
まだちょっと不十分かもしれませんね。では、こうしたらどうでしょう。
「火を司る偉大なる精霊サラマンダーの名において」
どうでしょう。それっぽくなってきませんか?
「火の精霊」や「火の神」などは当然その力を統括する存在=
では、残りの「火で」「敵を」「倒す」もこんな感じで変えていきましょう。
「火で」はそのイメージを使うのが良いと思います。
色は赤あるいは紅や深紅、静かに、あるいは激しく揺らぎながら燃えているので、その表現を当てはめてみます。何でも燃やすことのできる強力なエネルギーを表現するなら「
また、「~で」の表現ですが、「~を用いる」と言う意味であれば「~をもって」と言い換えることができます。この辺は漢文の知識が使えますね。そうなるとこんな感じです。
「深紅の滾りをもって」
自分で書いててなんですが、楽しくなってきました(笑)
続いて「敵を」です。あからさまにこの表現ですと、ちょっと雰囲気を壊してしまうかもしれませんね。ですので「立ち塞がる存在」や「我が道を阻むもの」なんて表現辺りにするといいかもしれません。
では最後の「倒す」です。火の魔法ですので「焼き尽くす」や「
さて、ここまでの言葉を繋げるとこんな感じです。
「火を司る偉大なる精霊サラマンダーの名において」
「深紅の滾りをもって」
「我が道を阻むものを」
「焼き尽くす」
良い感じになってきました。さあ、さらにカッコよく飾ってみましょう。
3.言葉を飾ることを意識する
さて、ここまでくればあと一歩。先の文言でも満足のいくものかもしれませんが、せっかくなら
言葉を飾るのに使えるのは枕詞や指示語あたりでしょう。他にも言葉の順番を入れ替えるなんてことも悪くありません。体言止めなどで重要な部分を強調するなんてのは国語の技法で学んだことがあるのではないでしょうか。
では、例をいじってみましょう。
「火を司る偉大なる精霊サラマンダーの名において」
↓
「揺らめく輝きを司るその御名、偉大なりしサラマンダー」
「深紅の滾りをもって」
↓
「その深紅の滾りをもって」
「我が道を阻むものを」
↓
「我が道を阻む愚かなるものを」
「焼き尽くす」
↓
「その身の一片に至るまで焼き尽くせ」
さてその結果、こうなります。
「火の精霊の力を借りて」
「火で」
「敵を」
「倒す」
↓
「揺らめく輝きを司るその御名、偉大なりしサラマンダー」
「その深紅の滾りをもって」
「我が道を阻む愚かなるものを」
「その身の一片に至るまで焼き尽くせ」
こんな感じになりました。この後に魔法名を叫ぶことで必殺技感が出ますね。この場合でしたら詠唱の文言から「業火で敵を灰にする」イメージになりますので「地獄の業火」とでも置いてみましょう。そこにルビを振って「
どうですか?
え、中二病くさい?
良いんですよ中二病で。恥を気にしたらここは負けです。せっかくなら調べて覚えた言葉を存分に使ってみましょう。語彙力を発揮するいい機会です。
この作り方は一例ですが、色々と応用することでいくらでも作ることが可能となります。是非、貴方だけの最高の魔法を作ってみてください。
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