第196話 フィンデルの贈り物 ②

 フィンデル家の馬車が到着したのは、その日の夕方だった。

 家の扉がノックされて、「フィンデル子爵の使いの者です」と大きな声で告げられる。


「くひ……くひ……奥ガツンガツン……きもちいい」


 青い瞳を限界まで上向かせたルーナが、舌をべろりと垂らしながらビクビクと震える。

 その美しい肢体は汗と精液でべちょべちょだった。

 遠目でもわかる程に勃起したクリトリスが目立つ股間からは、ピッピッとだらしなく潮を垂れ流している。

 それなのに、ルーナは相変わらず美しい。

 ルーナの真価は、二桁中出しを決めた後に花開くのだ。


「ハイランダー! おられませぬか? ハイランダー!」


 外から催促の声が聞こえる。

 いかんいかん。

 自分の女に見惚れている場合じゃなかった。


「あう」


 ルーナをべちゃっと床に落として、ささっと服を羽織る。

 そのままドアを開けて、使者に応対した。


「どうもどうもー」


「おお、ハイランダー。お初にお目にかかります。わたくしフィンデル家家令の――」


 立っていたのは、初老のおっさんだったので、俺の興味はシャットアウトした。

 おっさんがつらつらとお世辞を並べ立てるのをひたすら聞き流す。


「……ところで、先ほどから異臭がするのですが、大丈夫ですか?」


 おっさんが心配そうな顔で家の中を覗き込もうとした。

 ――ぶばっぶばっ!

 背後では、そんな景気の良い音でルーナが大量の精液を股から噴き出していた。

 普通に全裸なので、とっさにおっさんの視界を遮るように立つ。

 おそらくルーナは気絶しているのだが、少しは空気を読めと言いたい。

 ……というか、ルーナの股から噴出す精液の量がちょっと酷い。

 仮に輸送しようとするのならばタンクローリーが必要になるんじゃ……と錯覚するような量である。

 さすがにあんなに中だししたら妊娠するじゃなかろうかと心配になるのだが。

 でも大丈夫!

 俺は種無し説が濃厚だからね。


「あっ、良かった。もう届いたんですね!」


 遠くから、レティーお嬢様の声が聞こえてくる。

 ピートんちの方からてくてく歩いてくるレティーお嬢様の姿が見えた。

 その背後にはザコが見え隠れする。

 種吹きルーナを隠す為に、慌ててドアを閉めた。


「おや、これはレティシア様……」


「ああ、どうも……」


 おっさんとレティーお嬢様が気まずそうに挨拶をしていた。

 身内じゃないのかよ。

 フィンデル家の闇は深い。


「……と、ところでコウへのお礼の品は?」


 おっさんと頑なに目を合わせようとしないレティーお嬢様がそう聞くと、おっさんが近くに止めてあるらしい馬車に案内してくれた

 2人に続いて歩いていると、ピートが声をかけてきた。


「よう、コウ!」


 ピートの癖に馴れ馴れしくてイラっとした。

 というか、ピートの様子が少しおかしい。

 相変わらずのザコ臭を漂わせながらも、どこか爽やかな雰囲気を醸し出している。

 歯なんかキラキラしているし。

 まるで一皮剥けたような。

 いやいや、こいつは包茎なので剥けるわけはないのだが。

 ピートは昼から夕方までレティーお嬢様と家で2人きりだったのだ。

 これはまさか……。

 ピートさんが大人になっちゃったのだろうか。

 ボクらの童貞と皆から親しまれていたピートがまさか!?


「……ピートさん、もしかしてしちゃったんすか? レティーお嬢様と」


 脱童貞を成し遂げたであろうピートが眩しくて、思わず丁寧口調になってしまう。

 ピートはそんな俺に爽やかな笑みを浮かべる。


「おう! したよ! スゴロクを――あいたっ!」


 思わずぶん殴っていた。

 いやいや、マテマテ。

 よく考えろ。

 穴に突っ込む事しか考えていない若い男と、突っ込まれることしか考えていない若い女が数時間も一つ屋根の下にいてスゴロクなんかするであろうか。

 そんなの自然界の法則としてありえない。

 スゴロクって言っても文字通りのスゴロクじゃないのかもしれない。

 エロいスゴロクかな。

 なんだよそれって気もするが。

 あれだ。

 出た升目の数だけ膣をガスガスするとか、そんな感じの遊びだろう。

 何それすげえ楽しそう。

 今度カンナさん辺りとやろうか。


「すんません、ピートさん。ムカつく顔をしていたのでつい……」


 とりあえず、いきなり殴ったことを詫びておく。


「い、いや、いいけど……ムカつく顔って……?」


「ところでレティーお嬢様とはどんなエロいスゴロクをしたんすか?」


「ええ!? え、エロいって……普通のスゴロクしただけだよ! 知ってる? サイコロを振って、コマをすすめる――あいたっ!!!」


 問答無用で殴った。


「このコンニャクチ○ポ野郎が!! もげろ!!!」


 ついでにドカドカと蹴りを加えて追撃する。


「うふふ、コウ! お隣、歩いてもいいですか?」


 レティーお嬢様が嬉しそうに横に並んでくる。

 俺の足元でピートがかなり酷いことになっているのだが、レティーお嬢様は興味ないらしい。

 ダンゴムシには脈が無さ過ぎて辛い。

 いや、せっかく与えたチャンスを棒に振ったピートが悪いのだ。

 俺はピートのことなんて忘れて、レティーお嬢様の小さな手を握った。


「あっ! ……手を握って貰っちゃいました」


 レティーお嬢様が真っ赤になって照れている。

 バツイチなのにウブで可愛い。


「嫌でしたか?」


「いいえ! すっごく嬉しいです!」


 レティーお嬢様がそのまま身体を寄せてくる。

 肩に頭を乗せてくるのが可愛らしい。

 このお嬢様、秒速でヤれそうなんだけど。

 どんだけヘタレたらスゴロクやるだけになるんだよ。

 もう二度とあのフニャチンにチャンスはあげないんだからねっ!

 そう俺は心の中で強く思った。



 そんなこんなで俺たち3人(ピートは地べたにおねんね中)は馬車の止まっている場所までやってきた。

 馬車の荷台にはちょっと見たことが無いくらい大きな木箱が乗せられていた。

 なんかワクワクする。

 中に何が入っているんだろう。

 セレナの巨乳並に夢がある。

 どんなエロい贈り物が入っているんだろう。

 大きさ的にはオリエント○業さんのダッチなワイフも入りそうである。


「こちらが我が主人からハイランダーへの贈り物となります。ハイランダーは近々伯爵の叙爵を控えられているとの事。どうか、我がフィンデル家と末永いよしみを通じていただきたい」


「はあ、どうも」


 フィンデル家のおっさんが良くわからない事を言いながら深々と頭を下げてくれるので、曖昧に頷いておいた。


「すごいですね、コウ! あのケチなお父様がこんなに大きな贈り物を下さるなんて!」


「確かに旦那様は吝嗇家ですが、フィンデル家はここぞという時には惜しみなく金を使うのが家風でございます」


「まあ、私はお父様どころか、誰からも贈り物なんて貰った事ないんですけどね。生まれて一度も……」


 レティーお嬢様が勝手に落ち込んでいく。

 自ら地雷を踏むとか新しい。


 とりあえず、贈り物のデカイ箱をひょいっと持ち上げる。

 お、結構重い。


(ふにゃ!)


 なんか中で鳴き声がした。

 気のせいだろうか。


「何が入っているのか気になりますが、コウが貰った贈り物ですものね! お家でルーナ殿とゆっくり開けてみてください!」


 他人が貰った贈り物なのに、なぜかテンションが上がっているレティーお嬢様。

 贈り物を貰ったことが無いって話が真実味を帯びてきて、泣ける。


「……まさか、あの重量を一人でお持ちになられるとは。さすが武名の高いハイランダーでございますな。……まあ、お家で空けられるのもよろしいかと。説明は不要でしょうからな」


 気になる言い回しをしながら、おっさんは俺を見てニヤッとした笑みを浮かべる。

 おっさんの笑みとか誰得だよ。

 とりあえず、見なかった事にするとして、おっさんには言っておかなければならない事があるのだ。


「そういえば、帰りはちゃんとレティーお嬢様と一緒に帰ってあげてくださいね?」


「「ええ!?」」


 なぜかレティーお嬢様とおっさんが同時に驚いている。


「……レティシア様はお一人の方が気楽なんじゃないでしょうか?」


「ええ。私もその方が気まずく無くていいんですが……」


 なぜか別々に帰る方向にまとまりかけたので、慌てて待ったをかける。


「いやいや! レティーお嬢様来るとき山賊とかに襲われたんでしょ? 女性の一人旅は危ないからちゃんと馬車で帰ってください。いいですね?」


「ま、まあそういうことなら致し方ないですな……」


 おっさんがしぶしぶ納得する。

 つうかこの人、レティーお嬢様んちに使えてるんじゃないのか。

 呆れるほどの忠誠心の低さである。

 呂布かと言いたい。


「……コウ。そんなに心配してくれるなら、いっそこのまま貰ってくれればいいのに」


 レティーお嬢様がそんな不満をボソッと漏らす。

 いや、もう俺も貰ってやりたいけど。

 曲がりなりにも貴族のお嬢様ってそんなに簡単に貰えるものなのだろうか。

 しがらみとか色々とめんどくさい気がする。

 ルーナも貴族のお嬢様って噂なのに、めんどくさい事をせずに普通に家にいるのだが、あれは例外と考えた方が良さそうだ。

 うーん。

 まあ、今度ガマ子爵に会ったらレティーお嬢様くんない? ってちょっと聞いてみようか。

 娘ってそんなに気軽にくれるものかという気がするが。

 とりあえず今回は、このままお帰り頂こう。

 そんな事を考えていると。


「ハイランダー。こちら我が主人から親書を預かっております。後ほどお読みください」


 おっさんから何やら手紙のようなものを渡された。

 ガマの癖に手紙まで書けるとは、偉いカエルである。

 文字読めないので、後でルーナにでも読んで貰おう。


 とりあえず、レティーお嬢様とおっさんにお礼を言ってから、でかい木箱を抱えてその場を後にする。

 もう夜になるので、レティーお嬢様たちには今夜はセレナんちに泊まってもらって明日の朝帰宅という事になった。

 セレナんちは従業員が腐っている(物理的に)事を除けば優秀な宿泊施設なのだった。


 箱の中身が何なのか楽しみで、はやる気持ちを抑えながら、家路を急いだ。



「ただいまー」


 でかい木箱を抱えて、苦労しながら家に入る。

 家の中では、おっぱいをぷるるんと揺らせたルーナが仁王立ちで待ち構えていた。

 ルーナは普通に全裸だった。


「コウ! エッチの最中に妻をほったらかしちゃダメじゃないか!!」


 太ももに白い精液をだらだらと垂れ流す金髪エルフは異様にエロい。


「だってお前気絶してたじゃん」


「それなら私が気がつくまで腕枕とかしてギュッとしててくれなきゃイヤなの!」


 なんて面倒くさい。

 こいつ事後にタバコ吸いに行ったらキレる女と見た。


「目が覚めてコウが近くにいないと、寂しくて死んじゃうじゃないか!!」


 うちの嫁がすぐ死ぬ件について。

 って、べ、べつにルーナを嫁にした覚えはないんだからねっ!


 とりあえず、面倒くさい女は放置して、俺は木箱に手を伸ばした。

 中身はなんだろう。

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