No.52 「違和感」


ガラッ(扉が開く音)

担任「ん?グレイ!遅いぞ、さっさと席につけ!授業始まっているんだからな!」


グレイ「す、すみません…。あの…席って…どこでしたっけ?」担任「はぁ?いつも座っているだろ?窓際の奥の席、空いているだろ。」

グレイ「あ…は、はい…。」


周りがざわつくなか、その空いている席に着くグレイ。


グレイが席につくと隣にいる人間がグレイに話をかけてくる。「グレイ…。大丈夫か?遅刻なんて珍しいな…。」グレイ「す、すみません…。」


学校内にチャイムが鳴り響く。すると、学校の人が一斉に移動する。


グレイは何をすればいいのか分からずに戸惑い、動けずにいた。


席からたつとさっき話をかけてきた男がグレイの肩を軽く叩く「グレイ行くぞ!飯だ。食堂に行こうぜ!」グレイ「あの…キミは?」男「お前…今日おかしいぞ?とりあえず昼飯食べて力出そうぜ!なっ?」グレイ「は…はぁ…。」男「…もしかして、俺のことわからないのか?俺だよ、ガイア!忘れたのか?」グレイ「ガイア…くん?」ガイア「クンずけ…?…まぁいいや!早く飯いこうぜ!」


―食堂―

ガイア「自分が誰かわからない?」グレイ「…うん。」ガイア「ん~…。じゃあ、昨日何があったか覚えてるか?」グレイ「…~ん~…。」ガイア「…覚えてないのか?」グレイ「…うん…。」

二人が話していると一人の男が近づいてくる。


男「や!お二人さん!」ガイア「ハム!」ハム「グレイ、遅刻したんだって?」ガイア「昨日までの記憶がないんだと。」ハム「ふ~ん…。病院で検査してもらったら?」ガイア「相変わらずキッパリ物言うなぁ…。ハムは。少しは気を使えっての!」ハム「検査すればなんかわかるんじゃない?今の医学スゴいらしいしね~…。意外に馬鹿にできないよ?」

グレイ「…。」ガイア「グレイ、魚食べないのか?」グレイ「…え?あ…うん…。」ガイア「もらっていいか?」グレイ「ど、どうぞ…。」ガイア「やった!ラッキー!この魚のフライ 美味いんだよな~!」


ガイアが魚のフライを食べている姿を見つめるグレイ。

グレイ(…ん?)

グレイがガイアを見ていると、ガイアが猛獣のような獣に見え始める。

グレイ(何だ?今の…)グレイがめを深く目を閉じ、目を擦り再び瞼を開けると人間のガイアに変わっていた。

グレイ(何だ…?今の…。)

グレイがふとハムを方を見るとそこには猛獣のような獣がグレイを鋭い眼で睨んでいた。

グレイ「ウワァッ!」


グレイは驚きのあまり、声を上げ、立ち上がった。


ガイア「…どうした…?」


辺りを見るとグレイの視界には食堂にいる人間は全て鋭い眼で睨み、唸る猛獣のように見えていた。


あまりの恐ろしさにグレイの背筋が凍るように冷たくなり身体が震え始めた。


グレイ(…何だ…これ…いったい…なんなんだ…!?)


グレイはふと、震える自分の手を見た。その時、グレイは違和感を感じた。

グレイ(…え?)

他の人間全てが猛獣に見えているのに、自分の手と身体は何も変わっていないことに驚いた。


グレイ(…僕は…、何だ…!?)


グレイはとてつもない違和感を感じていた…。

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