第11章 最後の悪あがきと溺愛王子

第131話

 ・・・じんわりと、右の頬が痛みを帯びてくる。それから、目元の近くがヒリヒリしだした。

「あら、泣かないのね?」

 苺坂さんの落胆の声が聞こえる。そしてまた、パァン!と今度は左を叩いてきた。

左の頬も、じんわりと痛みを帯びてくる。痛かった、けれど涙は絶対にでなかった。

「………面白くないわね、これでは。」

 そう言うと、彼女は連続的に交互に叩いてきた。

 パァン、パァン、パァン、パァン・・・。

 叩く音がこだまする。叩かれる度に、熱が頬に集まってくる。

 でも、叩かれても叩かれても・・・私は涙を溢さなかった。いや、溢す訳にはいかないと思った。




 数分たった頃だろうか、彼女は叩くのをやめた。すでにその時、私の頬は赤く腫れ上がっていた。

「………つまらない、つまらなさすぎるわ。貴女我慢強いのね?そんなの、今はいらないというのに…………。」

 憎々しげに彼女は言葉を吐き捨てる。終わったと思った私は、叩かれた時に切れて滲んだ血を彼女にバレないように舐めとった。





 ―――けれど、次の瞬間。

 ガッ!と彼女の膝がお腹にヒットした。

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