第5話 変化

               大和


 (おじさん、今日は来てる?) 

         

                  (きてるよー、彼なら)


(わかった、今から行くね)


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僕が営むカフェ【コネクト】でバイトをしている甥と連絡を取り合う。


僕の甥は美形だ。

神の傑作だと、親族全員が思っている。そんなにいないけど。


兄の息子である彼が生まれた時、僕はそれほど興味を持てなかった。

子供は苦手だったのだ、僕は図体が大きかったし、簡単に潰れてしまいそうだったから。

それでも、兄は僕を彼に会わせたがった。


兄とは結構歳が離れていたから、会った時、感覚的には弟のようだった。

年の離れた可愛い弟と感じた時が、僕が将来彼を溺愛することが確定した瞬間だった。


少しずつ成長するにつれて、彼は変な輩に絡まれるようになった。

分からないこともなかった、大きくなればなるほど彼の美貌がその影を覗かせたから。

一度僕と散歩に出かけているときに攫われかけたが、その時は本当に死ぬかと思った。

僕のせいで彼が危険に合うなんて、と。


彼はどんどん美しくなった。しかし、どうしても友達ができなかった。

無理もない、彼は美しいだけに留まらず、なんでもできてしまったから。

完璧は妬み嫉みを買う。小学校ではついに友達ができないまま、卒業してしまった。


中学の終わり頃、兄に言われて彼が高校入学と同時にコネクトで働くと決まった。

その時に一度だけ、友達と思われる子を連れてきた。アラタ君といったか。

小声で『流石スーパーイケメンの叔父』と言っていたが何のことかはわからなかった、ケーキとコーヒーは美味しいと言ってくれたけれど。

しかし、二度は来なかった。

落胆した、せっかくの友達だったのに、何かやらかしたかと思ったが彼は『彼奴は忙しいだけ』と言っていた。


それから数か月、彼が友達を連れてくることはなかったが、最近少し嬉しそうだった。

理由は明白だ、近頃通ってくれている男の子、名前は確かサトウ君。

なにやら可愛らしい子だ、おそらく甘党、ケーキを食べるときのキラキラした顔が良い。


彼はサトウ君が気になっているようだった。

サトウ君は勉強していて気づいていないと思うが紅茶のお替りはいつも彼が入れたがっていた。

あまり他人に興味を示さなかった甥が、一度『おじさん、彼奴』と聞いてきたことすらあった。

これは甥に友達ができるチャンス、どうにか仲良くなってほしいと考えたが、大人が子供の世界に茶々をいれるべきじゃないと何もしなかった。



サトウ君が来るようになって五日目、ついに変化があったようだ。

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