第2話 進歩

        家野、前に勧めてくれたカフェ行ってみた:悠馬


やーの:マジ?!どうだった?


           凄い良かった、勧めてくれてありがと:悠馬


やーの:全然!むしろ行ってくれてサンキュ!

    絶対佐藤に合うと思ってたんだよなー


  そうか?俺は家野があんなとこ知ってるのが意外だった:悠馬


やーの:どう反応すりゃいいんだよそれw

やーの:まあ、気に入ってくれたんならよかったわ!


                     うん、それだけ:悠馬

                        ばいばい:悠馬

やーの:おう、じゃあな!

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追加の挨拶をして以来の会話を終わらせトーク画面を閉じる。


自分とはかなりタイプが違う人気者のクラスメイトである家野新はこんな俺とも気さくに話してくれるいい奴だ。

距離感を分かってるといえばいいのか

関わってはくるが人が触れてほしくないところには深入りしないような

頭がいいんだと思う。

彼奴のおかげでうちのクラスは喧嘩やいじめなくやってこれているんだと思う。

俺はどう接すればいいかわからなくてあまり得意ではないけど。


カフェに通って四日目、不得意な教科の問題集をこなしていた俺は分からない問題にぶち当たって鉛筆を動かす手を止めた。

鉛筆は俺なりのこだわりだ、書きやすいし使っていくと小さくなってくるので頑張りが見えやすくて『自分は鉛筆がこんなに小さくなるまで頑張れたんだからもっと頑張れるはず』とモチベーションにつながる、今は全く関係ないけれど。

これは困った、答えをみてしまえばおしまいだがそれでは身につかないだろう。他の教科の問題集には解き方の説明が書かれていたが不親切なことにそんなものはこれにはない。

どうしたものかと唸っていると、店員さんが紅茶のお替りを淹れにきた。

「ありがとうございます」

顔を上げてお礼を言うとそこにいたのは、カフェエプロンを身に纏った例のイケメン。

店員さんだったのか、ていうか俺よく三日も気づかなかったな。タイミングが悪かったのか?

イケメンな上に声までいい彼に『どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ』というお言葉をもらって息をつく。

紅茶を片手に持って呑もうとすると、ソーサーに折りたたまれたメモがあることに気づいた。

(なんだ?)

自分に宛てられたものであることは間違いないので、開いてみる。

書かれていたのは解けなかった問題の解き方。馬鹿な俺でも分かりやすいメモを基に鉛筆を動かすとありえないくらい簡単に解けてあっという間にその章を終わらせてしまった。

びっくりした、普段の自分では到底解ききれていない時間だ。

このメモのおかげだろう。

しかしこのメモは、店員さん基イケメンくんが書いたのだろうか。

もしそうならやることまでイケメンだ。強すぎる。

お礼を言わねばならないが、声をかけるのが難しい。

そろそろ帰る時間だし、もう今日はメモでもいいだろうか。

失礼かもしれないけれど仕方がない。

俺は猫のイラストと共に描かれた吹き出しのメモにできる限り丁寧な字で『ありがとうございました』と書いて、お会計をしに行った。


話しかけることはできなかったが、少しは進歩したといえるだろうか?

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