六冊目と七冊目 パレスチナとヨルダンの民族衣装
パレスチナとヨルダンについて
なんだか急に人間の醜い側面から明るく美しい側面に浸りたくなったので、突然新しい章に入ることにしました! だって私、この次も戦争についての本を纏める予定だから! いつか着手する予定の百合戦記の参考にするために!! でも、たまにはキラキラした世界に浸りたいんじゃ!!
……と、いう訳で今から「パレスチナとヨルダンの民族衣装」と「太陽に染まる紋様 パレスチナの民族衣装」という二冊の本を参考に、パレスチナとヨルダンの民族衣装についてご紹介していきます。なお、この二冊の本はカラーの写真が惜しみなく使われた、大変美麗な本なのですが……残念ながら絶版です。上記の本が欲しくなった方は、ヤホ―のオークションや日本の古本屋さんが多数登録しているサイトを探してみてください。かくいう私もオークションでGETしました。
まず、この二冊の本に収録されている民族衣装は「カワール・コレクション」というその名の通りウィダード・カワールという女性が集めた衣装から成り立っています。1948年に勃発したパレスチナ戦争(第一次中東戦争)、及び1967年の第三次中東戦争は故郷から離れざるを得なくなった多くの人々を生み出しました。
難民となた人々は、生活のために代々受けついだ装飾品や衣装を手放すことを余儀なくされる。持ち主の許を離れた衣装は、在住外国人や富裕層に購入され、壁掛けやら椅子張りやらにするために切り裂かれる……。今にも消えゆかんとしているパレスチナの財産の現状を危惧したカワール氏は、難民キャンプの女性たちから伝統衣装を購入し、手に入れた衣装をそのまま保存することで、パレスチナの伝統を守ろうとしたのです。難民キャンプの女性たちも、カワール氏ならば自分の大切な服を大事に扱ってくれると知り、カワール氏を希望して花嫁衣装などの大事な衣装を売却するようになりました。また、カワール氏は後にパレスチナの衣装だけでなく、ヨルダンの衣装をも収拾するようになりました。こうして「カワール・コレクション」が形成されていったのです。
「カワール・コレクション」はだいたい19世紀後半~20世紀初頭に作られた民族衣装や装身具、更に家具など日常生活を営むに必要不可欠な品々をも含まれているようです。ですが、本ではやっぱり衣装がメインだったので、民族衣装についてご紹介していきます! とはいえ今回は、衣装ではなくパレスチナの社会構成などについてまとめていくのですが……。
前の方でキラキラに浸りたいとか書いたわりには、悲しく複雑な背景を背負った本なのですが、これもまた目を背けてはならない世界の側面の一つです。紛争が平和と伝統を破壊する……。
まずは、パレスチナの社会構成について。パレスチナ社会は、以下の三つのグループで成り立っています。
ベドウィン(遊牧民)
・みんな大好きベドウィンですね! ベドウィンはアシーラ(日本語に訳せば部族ぐらいの意味)と称される構成単位や氏族に属しています。各アシーラの
ハダリー(都市民)
・官吏、証人、貿易商、技術専門家として教養を身に着けた、いわゆるエリートグループのことです。オスマン・トルコ時代のハダリーは支配者であるトルコ人の服装に倣っていたそうですが、近年では男女ともにすっかりヨーロッパ風の衣服を着用するようになっていたそうです。
フェッラーヒーン(農耕民)
・彼ら農耕民はパレスチナ・アラブ人の基盤をなしています。パレスチナの村落は、他のアラブの村落同様、複数の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます