第113話きがえてもキャラはかわらない
ヒノキの香りがする建物は、武道場そのものだ。サラサラの板が床で裸足だと滑る滑る。
ねこねこ「わーい!」
ショタっこが滑って遊んでる姿をみていると女はほんわかするようで、我らが領主さまはポワァっと和んでた。
金髪美女の存在は完全『和』の雰囲気のあるここからはひと際浮いてる。
ロイオ「お前も着替えてくれば?」
西の領主とセアラは動きやすい服装に着替えてくるらしく、俺らを道場に案内した後、どっか行った。
俺もねこねこも私服=装備だから着替える必要がない。寝巻にした元の世界の服は
オブ「私は皆さまのように動くわけではありませんから。それに、道着や着物は似合わないんですよ……ははは」
残念そうに自分の胸部を見下ろすオブは、全国の一定層を敵に回しそうだったので、俺はこれ以上つっこまない。
というか……ツッコミづらい。
ねこねこ「そんなことないよ! オブおねえちゃん!」
滑って遊んでたショタが中々進まない足で走ってくる。
走ってるっていうか、滑ってるから歩いた方が速いぞ。
まあ、武道経験者でもなければこんな滑る床には馴染みないよな。
ねこねこ「金髪巨乳のお姉さんが道着きてるからこそ異文化の融合が成立するんだよ!」
ロイオ「おい」
ねこねこ「黒髪細身が一番和装が似合うっていうのは解るよ。でも、金色の髪で隠れた白いうなじがチラっと見えるその一瞬や胸元を開けさせる
オブ「は、はい!」
ロイオ「オブ、解らなくていいぞ。こいつただの変態トークしかしてねぇから」
どんどん寄ってくる白い変態の剣幕に圧されてうっかり返事しちゃった聖人を俺はフォローする。
このショタをオブから遠ざけるべくアイアンクローをしようとした刹那、横開きの障子が壊れるほどの勢いで開いた。
セアラ「姫様から離れろ! シロスケベェェー!!」
ねこねこ「セアラだ! 道着姿もカワイイよっと!」
名物の「飛ぶ炎の斬撃」をねこねこは初級魔法のアイスピックで相殺すると同時にセアラの背後に瞬間移動。
セアラ「こっこの、降りろ!」
ねこねこ「えへへー、やーだ」
おんぶだ。
道着姿の美人におんぶされてる(させているともいう)。
なんか、アレだな……セアラも段々ねこねこに振り回されてきたな。最初の頃はあんなにもねこねこを抑えられていたのに……今となっては……。
いや、別にセアラが悪いわけじゃない。レベルが急に上がったアイツを簡単に止められる方がすごいんだ。
ロイオ「おい、ねこねこ。その辺にしとけ」
ねこねこ「えー」
ロイオ「おんぶなら俺が後でいくらでもしてやる……めちゃくちゃ恥ずかしいが」
ねこねこ「うーん……どうしよっかなー」
セアラ「人の背中で悩むな!」
セアラが背中のねこねこの白い髪をつかんで背負い投げのごとく投げた。
ねこねこ「わー」
全っ然おどろいてねぇな! てかこっち飛んできてやが――⁉
ロイオ「うはっ⁉」
ねこねこ「ぶにゃ⁉」
変態ロケットが顎に直撃した俺は天井を見上げながら床に倒れる。
ラキス「おっと」
床につく前に西の領主さまがカッコよく抱きかかえてキャッチしてくれなきゃ、今頃、頭を強打していたことだろう。
てかいつの間にいたんだよ……後、すげぇ見つめてくるな恥ずいだろうが。
ロイオ「……」
ラキス「アンタ、見かけによらず軽いねぇ」
イラ。
ラキス「ちゃんと飯食べてんのかい?」
イライラ。
ラキス「こりゃあ、わざわざやってみるまでもないかねぇ」
ロイオ「上等だこのヤロウ!! 見かけだけじゃわかんねえ強さ教えてやらぁ‼」
抱きかかえられてる体を勢いよく起こして、何か丁度いい土台に足を乗せて啖呵を切る。
土台から変な音がしたが、気にしてる暇はない。西の領主だろうがなんだろうが、ここまでコケにされて黙っていられるか!
オブ「あのぉ……ロイオさん、足元……」
セアラ「いいぞ、もっと強く踏むんだ」
ロイオ「あ?」
オブがいいづらそうに下を指さしてくるので俺は土台のことかと思い確認すると。
ねこねこ「……」
なんということでしょう。白くて微妙に小さく薄い土台の正体は、キャワイイ天使だったのです。白目むいて完全に逝ってる。
ロイオ「えーっと……おほん、なんまいだーΩ\ζ°)チーン」
ねこねこ「顔芸してないで足退けてよ‼」
どうやら、俺の顔芸は死者蘇生ができるらしい。魂が抜けていたはずのねこねこはツッコミで完全に息を吹き返した。
約一名、舌打ちした音が聞こえたがいつも通り。
約一名、クスクス笑ってるがいつも通り。
約一名、おっさんみたいに高笑いしてるが沈黙させる。
見せもんじゃねぇんだよ。
キャラが掴めない西の領主様には、俺が勝ったら中二病かおっさんか、キャラを定めてもらう。
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