第30話あくまとバトろう
ロイオ「セアラ、オブのことは頼んだ」
セアラ「無論だ。姫様は私が正気に戻す」
ねこねこ「じゃあ、ぼくはサキュバスのお姉さんとにゃんにゃんするー」
セアラ「ロイオ、あの悪魔とこのエロガキの処分、任せたぞ?」
ロイオ「あ、はい。顔怖くて逆らう気すら起きません」
ねこねこ「あはは、ロイオが脅迫されてる」
他人事かよ。
外野からの視線が暇を訴え始めてるから、おふざけは中断な。
「随分と騒がしくなったな」
オブ「……」
ロイオ「安心しろ、すぐ大人しくなる。ディフ、スピット」
ねこねこ「攻撃にはー?」
セアラ「姫様に攻撃するのだ。上げるわけないだろう」
ねこねこ「防御とかバフ振っちゃったら、オブおねえちゃんの防御も上がるよ?」
セアラ「それでいい」
セアラはオブの前に立ちはだかるように剣を一度振り払い、構える。
セアラ「姫様に剣を向けるのは近衛失格だ。この戦闘が終われば、私は姫様の下を去る。それでも、今ここで姫様の御心を取り戻すのが私の使命だ」
臨戦態勢に入ったセアラに虚無感のある表情で斬りかかるオブ。
恐らく悪魔が標的を”姫が信頼する従者”であるセアラに変えたんだろう。
火花散る剣戟を繰り広げる二人の女たちの横で、俺とねこねこは悪魔を見据える。
「ふふっ、仲間が加わり余裕が出たか。滅多に見られないというスキルはどうした?」
俺の余裕の笑みを見て、面白がる悪魔にねこねこがかみつく。
ねこねこ「サキュバスのおねーさんさー? 一言言っちゃうけどー、ロイオをイジメていいのは、ぼくだけだよ」
目の色を変えて、そういう俺の親友は聞き捨てならないことを言った。
ロイオ「俺をイジメていい奴はいねぇよ。だが、そうだな。まだねこねこの方がマシだ。こいつがいるなら、奥の手は使わねぇよ」
ねこねこ「いくよ――ライディン!」
「避けるまでもない」
ねこねこの杖から一閃する雷を素手で握り潰すとその手から全く同じ雷が俺に放たれた。
ロイオ「エレクトリックフォース!」
雷を纏った剣で悪魔の電撃を相殺し、振り抜いた剣を戻すように第二波の雷を飛ばす。そして、空いた片手でねこねこ個人にバフをかける。
ロイオ「インエナジースペル!」
ねこねこ「
魔法攻撃のみを大幅に強化するバフを受けると同時に、中級魔法を撃つが悪魔に動く素振りはない。
「食事の時間だ。ジュエリー」
悪魔の一言でその足元から無数の紅い触手が生え、二人の時間差攻撃を吸収した。
ねこねこ「ジュエルベリーっ!? 中盤のボスが使役してるモンスターだよ! なんでこんな序盤に……」
よく覚えてるなお前。あー、そういえばこいつ、あの触手メインの同人誌よく読んでたな。
それでか。
って今はそれどころじゃない。
ロイオ「確か……アイツの特性メンドイやつじゃなかったか?」
ねこねこ「ゲームの時はゼウスが瞬殺してたけど……」
それが今はいないんですよねー……。いるのは、姫様の攻撃を受け切ってる近衛だけど、手が空きそうにないな。
「わしの下僕には歯が立ちそうにないか、異界の者よ?」
ロイオ「くそっ、見下しやがって……ねこねこ、アイツの特性は覚えてるな?」
ねこねこ「え、覚えてるけど……?」
ロイオ「ならいい。マジックレイン、アイスフォース!」
ねこねこにMP自動回復をかけ、俺は触手に氷を纏った斬撃をお見舞いする。
触手の動きを鈍らせるのが目的だ。
ねこねこ「マジックレイン……あ、そういうことね!」
俺の意図に気が付いたねこねこはMPを確認する。
ねこねこ「ロイオ、後二〇秒!」
ロイオ「……ちっ、お前、MPだいぶ使ったな!」
ねこねこ「中級魔法が無駄撃ちになるなんて思わなかったんだよー!」
俺は苛立ちを触手にぶつけて発散し、ねこねこはMPの回復をじっと待っている。
「……何を企んでいる……?」
よし……作戦はバレてない。
胸の内で勝ちを確信した俺はくねくねしている触手をいたぶった。
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