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晩餐でイチのお披露目をすませ、俺達は寝室へと戻る。寝室のドアを閉めると、イチは腰を抜かしたようにヘナヘナと床に座り込んだ。
「イチ、大丈夫か?」
「緊張して……。ワインでちょっと酔ったみたいでございます」
「イチはアルコールには弱いようだね。何も食してないからだろう。俺達ヴァンパイアは食事は不要なんだよ。セバスティ、セバスティはいるか」
ドアがスッと開き、セバスティが顔を出しニカッと笑った。手にしたトレイには温かいスープやパン、仔羊の肉や新鮮なサラダ。
セバスティは寝室のテーブルに、料理を並べる。
「さぁ、イチ様、沢山召し上がって下さい」
「セバスティ……。本当にセバスティなのね!?生きていたのね……」
イチは感極まって、セバスティに抱き着いた。
「わ、わ、イチ様。ジョエル様に殺されてしまいます。離れて下さい」
「……セバスティ、また逢えて嬉しい」
「また逢えて?イチ様は俺をご存知で?」
「……いえ、何でもございませぬ。失礼つかまつりました」
セバスティは首を傾げながら、洋服の襟を直す。
「さぁさぁ、温かいうちにお召し上がり下さい。深夜は人間を招きパーティーが開かれます。イチ様は決して大広間に降りてはなりませんよ」
「……はい」
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