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茶々姫は俺の側に座り、手を握り涙した。懐かしさと愛しさがこみ上げ感極まる。
「茶々の側に、ずっと仕えてくれぬか。丈は茶々にとって父上様と同じくらい、大切なお方じゃ」
「わたくしはただの忍び、勿体無いお言葉……」
「丈……茶々には見えるのじゃ。今も赤き瞳の侍が……。この城にも安土城にも……。赤き瞳の侍は伯父上様のお命も茶々の命も狙っておる」
「上様のお命も?」
「このままでは、伯父上様のお命が危ない。赤き瞳の侍は謀反を起こすつもりなのじゃ」
「謀反……」
「茶々、そのようなことを軽々しく申すでない。丈、あれから何年も経つのに、茶々はいまだにこのようなことを申しておるのじゃ。体は成長しても、心は幼子のままで困っておる」
「お市の方様、茶々姫様の話は満更嘘ではないのやもしれません」
「丈……、嘘ではないと?」
「吸血鬼はこの七年で膨大な数に膨れ上がっています。この城内に紛れ込むのも可能かと。吸血鬼は昼間動くことが出来ません。太陽の光に当たると体が灰になってしまうからです。日が沈むと同時に姿を現し、夜明け前になると姿を消す者。それが吸血鬼です」
「吸血鬼は昼間動くことが出来ない……とな」
「はい」
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