第2話 最悪の出だし

結衣を自転車の後ろに乗せて学校へ向う。ていうかなんでナチュラルに後ろ乗ってんの?急いでるなら普通は自分の自転車を使わない?


桜ヶ丘高校は少し土地が高いところにあり、学校までの道が少し坂道になっている。自宅からの距離は10分程で着く距離なのだがこの坂がメチャクチャきつい。後ろに人を乗せてるなら尚更だ。


鋭「結衣、ここで降りてくれ。お兄ちゃんの体力じゃここが限界だ。ゼエゼエ」


結衣「うん!分かった!お兄ちゃんありがと~」


結衣は自転車を降りるとカゴに入れていたカバンを取って自転車では登れない学校へのショートカットの道をヒョイヒョイと登って行った。おいまて、お兄ちゃんはてっきり校門まで一緒に行くと思ってたぞ。俺を置いていくな。


なんとか遅刻ギリギリで教室に滑り込んだ。まだ担任は来てないみたいだ。

俺は教室の隅にある自分の席に座り一息ついた。朝っぱらからクラスメイト達は複数のグループに分かれて談笑をしている。朝からよくそんなに喋れるな...。


担任「みんなおはよう~。」


どうやら担任が来たようだ。クラスメイト達は自分の席に戻る。ふぅ~静かになったからようやく俺は安眠が出来るぜ...。


担任がHRを終わらせ、1時限目の準備をする休み時間に入った。黒板に書いてある時間割で1時限目がなんの教科なのか確かめる。1時限目は...って理科じゃねぇか!?初っ端から理科とかふざけてんのか、俺を殺しに来てるのか!?うわぁぁぁ帰りてぇええ~。


そうこの俺、如月鋭は理数科が大の苦手なのである。中1レベルの問題も解けないレベルだ。まじで理数科は滅べばいいのに...。俺が頭を抱えて唸っている時。誰かが俺に声をかけた。


葵「よっ、朝から頭抱えて唸って何してんだ?」


鋭「葵...お前俺が理数嫌いなのわかってて言ってるよな...」


こいつは西原葵(にしはらあおい)。俺がこの高校生活で出来た友達だ。こいつも性格に少し難ありで、顔はそこそこイケメンなのにモテない。なんとも可哀想な奴なんだ。同情はしない。ちなみに俺は高校でできた友達はこいつだけだ。俺のコミュ障っぷりを舐めるなよ!


葵「うん。知ってて聞いた」


鋭「煽り前提だったのかよ...」


少し呆れたような返事を返す。それを聞いた葵は笑いながら「そうだな」と言った。


そろそろ授業が始まる。葵は自分の席に戻った。教室の外に出ていたクラスメイト達ももゾロゾロと教室に戻ってくる。はぁ...理科だし寝るか...。俺は机のうえで手で枕を作り、その枕に頭を乗せて睡眠体制に入った...。

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