六十二の節 鬨の奮え、風の謳い。 その二
「正直、カネル君主都市が持つ将来性を
アラームの言葉は急を要して辛辣で、説明を求めるには周囲の胆力は浅く望みを通す事は難しい。その雰囲気で、開口を封じるようでもあった。
「クリーガー兄弟を
停滞する現状と、アラームに感情的だと思われたのが
「本来の
「我が語るのも
普段は馴染みのない
「天を刺す尾根を
奇しくも、話題に挙がっていた
なおも
「次、クリーガー兄弟が改変するなら覚悟を決めよ。今回はアラームの意向もあり特別に数には入れないが、
「ど、どう言う事だ。回数に制限があるとは知っちゃいるが、本人も分からねぇ残りの回数を何故に言い切れる」
「ついでに言っておくと、半年前にシザーレ
今更ながら、重大な告白をするアラームの言葉に、
しかし、当のメイケイとウンケイは毛髪の一筋すら立てずに、アラームの言葉を受け止めているようだ。回数を限定した上、死に直結する改変を操ると明言する
「残り
「駄目だ、そんなもん許す訳ねぇだろ!」
「お聞き分けください! 事態は急を要しております!」
日頃は渋く重みのある声で静かに語るメイケイが、咆哮にに似た叱責を
ヒト族とは異なる腹が据わる音量に、
「元は既にない生命です。一度くらい信頼して機会を預ける事は、我々にとって恩返しと同じです」
隻眼には臆するのではなく、好奇心に駆られた色が浮かんでいるように見えなくもないメイケイは、黒い鼻先をアラームに向けた。
「絵空事を勝手に進めないで
明らかに
「バスカのオヤジ、
「ヴァリー! 大隊長の俺に意見するのか! 熊が二匹デカくなった所で何になる! 知ったかぶりの部外者共が、戦線を乱そうとしているんだぞ。ここには、ここでの戦い方がある!」
ヴァリーが差した判断を仰ぐ一言に、バスカは火薬が
丘陵の登頂で冷える大気をはね除け、怒声につられて紅潮する
「自覚してください。明らかに平静を欠いておられる事を。バスカのオヤジは、人種や出身を問わず適材適所を重視していた。
ヴァリーの声は、決して大きいものではなかった。内容も、アラームに傾いたものだ。しかしながら、ヴァリーが指摘したバスカが抱える違和感を抑える圧は、その声と灰色の力強い視線に込められていた。
その証拠に、バスカの荒々しい形相と息遣いが鎮まる気配に向かっている。
「今だけは、オラっちの
ヴァリーの一言に周囲は落ち着きを取り戻していたが、戦場を控えた空気は、安寧を留めてはくれなかった。
「来たよっ、カネル君主都市の
何もない空間から不意に現れた
「メイケイとウンケイの事は任せた。万が一の事があったら、どんな手を
寒さが苦手な
よもや、二勢力の上司が同時に醜態を
一方、目的の半分を果たしたアラームは野砲を下げ、馬をテフリタ・ノノメキ都市側へ移動するよう指示をバスカに預ける。
その様子を見届けたアラームは、メイケイとウンケイを
アラームの目的もまた、
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