二章 chocolate brothers

1月31日『帰宅』

「ただいまー」

「おかえり」

「あれー、お兄ちゃん、まだ起きてたのぉー」

「おー」

「またゲーム? それともアニメ?」

「動画」

「動画かぁー、そっかぁー。ゆかも一緒に見るー」

「おー」

「お風呂先に入ってくるねー」

「おー」

「一緒に入るぅー?」

「もう入った」

「なんだぁー。じゃーゆかだけ入ってくんねー」

「おー」


 私とお兄ちゃんは二人暮らしだ。

 お父さんとお母さんは、私が高校生の時に交通事故で死んじゃった。

 私とお兄ちゃんも同じ車に乗っていたんだけれど、何故か、ホントに運良く後部座席に座っていた私とお兄ちゃんだけが助かった。

 運転席と助手席に座っていたお父さんとお母さんだけが正面からぶつかってきたトラックに押し潰されて、死んじゃった。


「お兄ちゃんあがったよぉー」

「おー」

「動画何見てるのー」

「ゲーム実況」

「それ面白いのぉー?」

「まあまあ」

「まーまーかぁ」

「おー」

「とりあえずお兄ちゃん、私のスペース開けて」

「ん」

「ありがと、お兄ちゃんっ」


 そう言って私はお兄ちゃんの太ももに座る。


 ここが私の一番安心できる場所。

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