王徽之5 ラヴ竹クレイジィ

王徽之おうきし呉郡ごぐん辺りを旅行している時、

ある名士の家にめっちゃ素敵な



があるのを見かけた。


王徽之様がこの地に来られた!

うちの竹を気に入られるに違いない!


そう確信していた名士氏、

自宅をきれいに整えておき、

いつ王徽之が来てもいいよう備えていた。


そして、王徽之。来た。

輿に担がれて。

ダイレクトに竹のもとに。

で、なんか歌ってる。


えっ竹の持ち主シカト?

マジで?


がっくりきた名士氏ではあったが、

諦めきれない。


しばし竹の鑑賞を楽しんだ王徽之、

そのまま門から外に出ようとする。


させるものかよ!

すぐに側仕えに門を閉めさせ、

王徽之が出られないようにした。


おっ、ご主人。

アンタもなかなかにクレイジーだね?


ことここに至り、王徽之、

ようやく名士氏のことが気に入り、

改めて座での歓待を受けたそーな。




王子猷嘗行過吳中,見一士大夫家,極有好竹。主已知子猷當往,乃灑埽施設,在聽事坐相待。王肩輿徑造竹下,諷嘯良久。主已失望,猶冀還當通,遂直欲出門。主人大不堪,便令左右閉門不聽出。王更以此賞主人,乃留坐,盡歡而去。


王子猷の嘗て行きて吳中を過るに、一なる士大夫が家にて極めて好みの竹有りたるを見る。主は已にして子猷の當に往かんとせるを知り、乃ち灑埽なるを施設し、聽事に在りて坐し相い待す。王は肩輿にて徑ちに竹下に造り、諷嘯せること良や久し。主は已に失望せど、猶お還じ當に通ぜんと冀わば、遂に直ちに門に出でんと欲す。主人は大いに堪えず、便ち左右をして閉門せしめ出るを聽さず。王は更に此を以て主人を賞め、乃ち坐に留まり、歡を盡くし去る。


(簡傲16)




竹狂いも甚だしいなこいつら……


歡(竹語り)を盡くしたんだろうなぁ。

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