簡文文壇+α

袁喬1  簡文文壇    

簡文文壇 袁喬

 既出:簡文24、孝武1、庾亮8



簡文かんぶんさま、孫綽そんしゃくに聞く。


劉惔りゅうたんはいかなる人か?」

「清冽にして上品なお方です」


王濛おうもうはいかなる人か?」

「その穏やかさで皆を和ませます」


桓温かんおんはいかなる人か?」

「颯爽として高邁なお方です」


謝尚しゃしょうはいかなる人か?」

「爽やかで自由なお方です」


阮裕げんゆうはいかなる人か?」

「懐も思考も深きお方です」


袁喬えんきょうはいかなる人か?」

「清く流れるような思考のお方です」


殷融いんゆうはいかなる人か?」

「遠き思考の境地を見出すお方です」


「そなたは自身をどう思う?」

「わたくし自身の才能は彼らにまるで及びませんし時と場合に応じて柔軟に対応したり忖度するのは本当に苦手なのですが、斯様に愚鈍ものであるからこそその思いを幽玄の境地に託して老荘の言葉を諳んじその穏やかなる気持ちを高き境地に寄り添わせることによって、いついかなる時にあっても常の心を保ち外部要因に煩わせずにおれる有様は彼ら諸賢にも決して引けを取らぬものである、という自負を抱いております」




 撫軍問孫興公:「劉真長何如?」曰:「清蔚簡令。」「王仲祖何如?」曰:「溫潤恬和。」「桓溫何如?」曰:「高爽邁出。」「謝仁祖何如?」曰:「清易令達。」「阮思曠何如?」曰:「弘潤通長。」「袁羊何如?」曰:「洮洮清便。」「殷洪遠何如?」曰:「遠有致思。」「卿自謂何如?」曰:「下官才能所經,悉不如諸賢;至於斟酌時宜,籠罩當世,亦多所不及。然以不才,時復託懷玄勝,遠詠老、莊,蕭條高寄,不與時務經懷,自謂此心無所與讓也。」


 撫軍は孫興公に問うらく:「劉真長は何如?」と。曰く:「清蔚簡令なり」と。「王仲祖は何如?」と。曰:「溫潤恬和なり」と。「桓溫は何如?」と。曰く:「高爽邁出なり」と。「謝仁祖は何如?」と。曰く:「清易令達なり」と。「阮思曠は何如?」と。曰く:「弘潤通長なり」と。「袁羊は何如?」と。曰く:「洮洮清便なり」と。「殷洪遠は何如?」と。曰:「遠有致思なり」と。「卿は自ら何如と謂ゆ?」と。曰く:「下官が才能の經る所、悉く諸賢に如かざりたり。時に宜しく斟酌し、當世に籠罩せるに至りては、亦た多きが及ばざる所なり。然れど不才なるを以て、時に復た懷いを玄勝なるに託し、老、莊を遠詠し、蕭條たるを高きに寄せ、時務に懷いを經るに與わざること、自ら謂えらく、此の心は與に讓りたる所無かりきなり」と。


(品藻36)




(早口)


というわけで簡文文壇+支遁しとん許詢きょじゅん

最も収録編数が多いグループです。

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