謝玄6  アネキこわい  

謝玄しゃげんの姉貴にして王凝之おうぎょうし夫人、謝道韞しゃどううん

もう常日頃から謝玄、

お姉ちゃん大好きオーラを

振り撒きまくっていた。


そんな彼女がどんな人かについては、

済尼さいじと言う人のコメントに詳しい。


謝玄と共に「二玄」と並び称される、

張玄ちょうげん、と言う人がいる。

彼がまた、自分の妹を褒め称えて、

謝道韞と張り合わせたがっていた。


なので人々もどっちが凄いのか、

そんなことに興味を示していた。


済尼は、かねてより謝氏、張氏、

どちらの家にも

ちょくちょく訪問していた。

なので両名のことをよく知っている。


が、この人も結構食えない人である。

両名についてコメントを求められた時、

以下のように答えている。


「謝夫人は才気煥発、

 竹林七賢のごとき気風をお持ち。


 張夫人は清楚貞淑、

 人の妻として申し分ないお方です。


 このご両名を比較するのは、

 なかなかに難しいことです」


あれ、済尼さん、

「謝氏は女性として見るべきじゃない」

って言ってませんかね?


まぁいいや。



ではそんな謝道韞さん、

謝玄に対しては

どのように接していたのでしょうか。


こんなことを語っています。


「全く、お前はぜんぜん進歩がないわね。

 下らないことに

 かかずらい過ぎているのかしら、

 それとも、もともとの天分が

 その程度だったのかしらね」



あれ、もしかして謝玄さん、

「アネキめっちゃ怖い」ムーヴ……?




謝遏絕重其姊,張玄常稱其妹,欲以敵之。有濟尼者,並遊張、謝二家。人問其優劣?答曰:「王夫人神情散朗,故有林下風氣。顧家婦清心玉映,自是閨房之秀。」

謝遏は絕だ其の姊を重んず。張玄は常に其の妹を稱え、以て之に敵せんと欲す。濟尼なる者有り、張、謝の二家に並べて遊ぶ。人の其の優劣を問うる有り、答えて曰く:「王夫人が神情は散朗、故に林下の風なる氣有り。顧家が婦の清心は玉に映り、自ら是れ閨房の秀たり」と。

(賢媛30)


王江州夫人語謝遏曰:「汝何以都不復進,為是塵務經心,天分有限。」

王江州の夫人は謝遏に語りて曰く:「汝は何をか以て都べて復た進ぜざるや、是れ塵務に經心せる為か、天分に限り有りたるか?」と。

(賢媛28)




この姉御のコメント、いちいち激烈で笑う。

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