元帝10 皇子誕生    

元帝げんていに皇子が生まれた!

こいつはめでたい、

元帝、臣下に振る舞い物をする。


すると臣下の一人、殷羨いんせんが言う。


「皇子のご生誕は、天下の皆が等しく

 慶賀するに値する出来事です。


 で、あるとはいえ。


 臣めにはまるで功が御座いませんのに、

 随分と大盤振る舞いをなさいますね」


皮肉である。

お前そんなことに

資源使ってる場合じゃねえだろ、

そう棘をブッ刺してきてるのだ。


殷羨の言葉を受け、元帝は笑う。


「はは!

 殷羨、さすがにこのことばかりは、

 卿に功などあるものかよ」


あっダメだ通じてない。




元帝皇子生,普賜群臣。殷洪喬謝曰:「皇子誕育,普天同慶。臣無勳焉,而猥頒厚賚。」中宗笑曰:「此事豈可使卿有勳邪?」


元帝に皇子の生まるに、普く群臣に賜う。殷洪喬は謝して曰く:「皇子の誕まれ育ちたるに、普く天も慶を同じうす。臣の勳の無きに、而るに猥りに厚賚の頒たるか」と。中宗は笑いて曰く:「此の事に豈に卿に勳有らしむるべけんや?」と。


(排調11)




殷羨

蘇峻そしゅんの乱のときに陶侃とうかんの副官だった人らしい。そんな人が皇子誕生に際して中央にいるの? まぁ良く分からんけど、そんなもんなのか、と飲み込んでおきましょう。つーか皇帝の慶事に関することで平然と「猥頒」って使ってくるとか、どんな肝っ玉だこのオッサン。ちょっとこのオッサン面白そうなので、そのまま二編追ってみる。

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