曹操11 残された寵姫たち

曹操そうそうが死ぬと、

曹丕そうひはすぐさま曹操の寵姫たちを囲った。

素早い、文帝さま素早い。


さてそんな文帝さま、病にかかる。

そこに母親のべん皇太后が見舞いに来た。

部屋に入ろうとする。

そしたら、何か知ってる女がいっぱいいる。


皇太后、女たちに聞く。


「貴方たち、いつからここに来てるの?」


「先帝が崩ぜられてすぐです」


卞皇太后、これにはブチギレである。

もう部屋にも入りたくない。


「あああああ、曹丕、なんて汚らわしい!

 ドブネズミだってあんたの食い残しなんか

 喰いたくないでしょうよ!

 罰が当たったのよ、とっととお死に!」


その怒りぶりと来たら、曹丕が死んでも

墓参りにすら行かないレベルだった。



 

魏武帝崩,文帝悉取武帝宮人自侍。及帝病困,卞后出看疾。太后入戶,見直侍並是昔日所愛幸者。太后問:「何時來邪?」云:「正伏魄時過。」因不復前而嘆曰:「狗鼠不食汝餘,死故應爾!」至山陵,亦竟不臨。


魏の武帝の崩ぜるに、文帝は武帝の宮人を悉く取りて自ら侍らしむ。帝の病にて困しむに及び,卞后は出でて疾を看る。太后は戶に入り直侍を見るに、並べて是れ昔日の愛幸さる所の者なり。太后は問うらく:「何れの時に來たりしや?」と。云えらく:「正に伏魄の時に過す」と。因りて復た前まず、嘆じて曰く:「狗鼠も汝の餘は食さず、死は故より應に爾らん!」と。山陵に至りても、亦た竟に臨さず。


(賢媛4)




曹丕

曹操の息子にして後継者。文帝。「すごい。けど性格悪い」「千古の名君になったと思う。あの性格さえなければ」と評される素敵な人。もちろん後でもうちょい出てきますよ。


卞皇太后

曹操の奥様。曹丕・曹彰そうしょう曹植そうしょく曹熊そうゆうらを産んでおり、もう他のお妃さま達とは格が違う。でも他のお妃さまや、その子供たちをよく養った。そりゃブチ切れますわな、曹丕のこの行動にゃ。にしたって言い回しがえぐい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る