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オトナのシャコウバに行く前に
オレらは、シャツ着て 髪とかやりながら
一応の役割分担を決める。
女の子はべらすのは、もちろんジェイドと朋樹。
目立って金バラまく。
オレは、店ん中うろうろして
ぼちぼち話して、ぼちぼち 負ける。
ディーラー相手ってことだな。
ブラックジャックとかポーカーとか。
泰河は なるべく、でかく負ける。
“危機に陥れ” って言ってたし。
一回こいつと、賭けて
ポーカーやったことあるんだけど
負けて、焦ってるくせにさぁ
まったく顔に出さねーの。ハッタリすげぇ。
その時、最初は榊がいて
こいつら イカサマしてたんだよな。
榊が、ジェイド見て帰っちまって
そっからオレ、すげぇ勝ったけど
まぁ、カードは ジェイドが切ったから
オレらもイカサマだった訳なんだけどー。
泰河は「おまえ ツイてんな」とか、全然 余裕で
いきなり「負けだ。もう金ねぇし」って降りた。
けど、それまで全く顔に出さなかったから
オレもジェイドも、こいつ、単純に金あるから
暇潰し してんだろうし
こいつが焦る顔になるまでやろーぜ。とか
思ってたんだけど。
ま、その日は、仕事の話はせずに
一杯 奢って帰ったんだよな。おもしれーヤツって思って。
「僕とルカは、大叔父の名があるから
たぶん店側が優遇する。
泰河と朋樹は、僕らの
たぶん店は、君らからは幾らか落とそうとする」
「おう。金さえあれば、幾らでも落とすぜ」
「女の子いる店だろ?
オレは、どこまでならいいんだ?」
朋樹がジェイドに聞く。
まぁ 一応なぁ。ヒスイに暴露される恐れあるし。
「営業 掛けられたら、連絡先は沙耶さんの店だ」
きついな おい。外で擦れ違ったら 気まずいぜ。
「わかった。交換はなしだな」
朋樹、うまいことやりやがるんだろな...
オーロラでシェムハザが出現した。
「支度は出来たか?」
シェムハザもスーツだ。
緩いウェーブかかった小麦色の髪は
後ろでタイトに纏めてる。輝くよなぁ...
「あれ? シェムハザ、姿 消すんじゃねーの?」
「いざという時は、姿を顕して 人目を引く。
ボティスの名を思い出しさえすれば
店内で召喚も有り得るからな」
マジか...
なんか、でかいジュラルミンケースと
スーツケースみたいの置いてる。
「ハティから預かって来た。
この国の現金と、ゴールドのインゴットだ」
「えっ?!」
「それ全部?!」
シェムハザは頷き
「チップのために、20ほどずつクリップに挟め。
あまり厚いとスマートじゃない」とか
普通に言うし。
ケース開けて 現金見て、なんか震える。
怖ぇ... オレもう怖いんだけど...
“羽振り良く” って、限度ねぇ?
「地上に これだけ寄付すれば
なにかしら 助かる者もいるだろうに。
お前達の無駄な遊び金という訳だ。
いや、ハティからの “借り” か」
そんなこと言ってくれるなよ...
オレだけじゃなく、ジェイドも朋樹も喉 鳴らすし
さすがに泰河も言葉なくす。
悪魔って、違うよなぁ...
「だが お前達は、髪は もう少し緩めろ。
金はあるが バカな奴等が、食い物にされに来た と思われねばならん」
うわ ずいぶんじゃね?
まあ、そーいう作戦ではあるんだけどー。
「何故 先に下を穿いた? 皺になっている」と
指を鳴らして、オレらのスーツ下のシワを取る。
緩めにネクタイ巻くオレらに
「わかっていると思うが、店内の女性達は仕事中だ。“仕事中の彼女等” に 好かれるように」と
シェムハザは爽やかに微笑んだ。
********
「ヴィタリーニだ。大伯父の代わりに来た」
新しいビルの 地下 一階。
ジェイドがドアで、店のボーイに言うと
ちょっと待たされて、すげぇ笑顔で通された。
うおっ...
店ん中の女の子たちは全員下着。ピンヒール。
ガーター付けちゃってる子とかもいる。
あぁ はしゃぎてぇー...
オレ、“アミタイーツ!” とか言いてぇよー...
隣では泰河も同じカオだ。
中央には楕円のステージ。バーは 二本。
奥右にはカウンター。
奥左には、なんかアヤシイ仕切り部屋。
もう すげぇ入っちゃいたいんだけどー
『わかっているな。ルカ、泰河。
言っておくが、ここは お前達と
開店した店への サービスだ。
本当なら、すぐに
姿を消したシェムハザだ。
くそう。オレら、監視付きだぜ。
『女性への羽振りだけ学べ。笑顔にしろ』
ステージが見えやすい真ん中辺りのテーブルに
案内されて、ジェイドが現金のケースを
テーブルに乗せる。
案内したヤツが、店のシステムを説明し出した。
何するにも、チケットがいる。
ドリンクやフードも、女の子 隣に座らせるのも
全部チケット。
で、そのチケットは 10枚1セットで 1万。
1枚 1000円て訳だな。
女の子には 触っちゃダメ! マジかよー...
ドリンクやフードは、全部1枚。
女の子を隣に座らせるのに、10分1枚。
いや、すごくね? 高ぇ...
『良心的な店だ』
もう、感覚違いすぎて わかんねー。
「じゃあ、とりあえず」って
ジェイドがケース開けると、シェムハザが
『400』って言う。
ジェイドの頬もひきつるし、朋樹も咳払いするけど、オレ、ぶはっ て空気に噎せそうになったし。
泰河は「コッ」って、喉から空気 出やがった。
ジェイドが、テーブルに 400万置くと
説明したヤツは、眼ぇ見開いて 喉鳴らす。
そりゃそーだろ...
クソガキが、一人 100セットだもんなぁ...
「すぐに お持ちいたします」って
ちょっと引きながら 札束 持って行った。
周りの女の子たちが、余計に色めき立つ。
元々、オレらの方... っていうか
ジェイドと朋樹中心に ちらちら見てたんだけど
ケースからドサッて出たもんなぁ。
周りのテーブルには、オレらほど ガキだけの客いねーし、これで注目はされたな。
札束と同じ厚さのチケットの束 渡されて
テーブルのケースの上に置く。
「チケット 一綴りにつき、一杯サービスです」って、隣のテーブルまで使って
40杯のテキーラショット持って来たんだぜ。
あと 360杯 注ぎ切れねーから、ボトルも箱で。
こんな飲んだら、オレ 死んじまうし。
泰河が飲んで、上に添えられてた ライム噛る。
2~3杯は 景気付けにいっとくか...
姿を消してるシェムハザが『適当に女性を呼べ』って言って、オレらの影で テキーラ飲む。
悪魔って、そうそう酔わねぇんだよなー。
ボティスは人になってから酔えるようになってきてた。いや強ぇし、ほろ酔いだけど。
『ワイン』って言われて、チケット 3セット渡して、三本 持って来てもらう。
『一時間程で、
その辺に立ってる女の子、片っ端から手招きで呼んで、チケット配りまくる。
で、『顔以外 見るな』だってよ!
なんだよ それ!! ひどくね?! あんまりだろ!
ここ、どこだと思ってんだよ!
そりゃ泰河も 5杯目あおるだろ!
「なんか飲む?」「お腹 空いてないー?」って
またチケットばら蒔く。
もちろん、ちまちま千切らず
1セットを何枚か束で。
「いくつなんですかー?」
「27だよ」
「お仕事 ナニしてるんですかー?」
「残念。何もしてないんだ」
金の威力か、サクサク会話も弾む。
でさ、気づいたことあるんだけど
こーいうとこでは、オレも泰河も 割とモテる。
ま、ワイン営業 行っても
結構 誘われたりはするんだけどー。
「ルカくん かわいー」
「マジでー? ほんきにするぜー」
「うん。日曜 お店休みなんだけど」
「さそうさそうー」
もー、三人くらいに言われてさぁ
顔しか見れねーけど、すげぇ 楽しーし!
金の威力とは考えないんだぜ!
でもなんか、店の子って うまいよなぁ。
細かいとことか褒めてきたりするし、明るいし
気ぃ抜かねぇから 気が利くし。えらい。
人気ある子とかになると、客前じゃ絶対
自分のプライドとか出さねぇのなー。プロだぜ。
“他のテーブルに呼ばれた子がいる” って
店のヤツが申し訳なさそうに言ってくる。
「行っておいで」「待ってるよー」とか言って
手ぇ振って、戻ってきたら
「さみしかったぜー」って チケット渡す。
後ろでシェムハザも頷くし、まずまずじゃね?
ショータイムとか始まって、ステージでダンサーの子が、バー回ったり、腰くねらせながら トップレスになったりする。ショーパブ!って感じ!
で、ダンサーの子が キレイでカッコいい。
けーど、じっと見るべからず なんだよなー。
シェムハザが 背中 つつくしさぁ。
あーあ。オレ、腹の縦線すきなのによー。
... いやいや、いや見るだろこれ!
オレが もし女だったとしても見るぜ!
シェムハザが『ルカ』って言う。
ぐおおー...
もうステージ見ずに、周りの女の子と喋る。
「きれいだね」って、絵画でも見るように
ステージ見るジェイドに
女の子の方が見惚れるのは解せんよなぁ。
朋樹なんか、膝に座られてるけど いいのかよ?
「... 奥部屋に行かない?」とか誘われたりして
「何すんのー?」って聞いたら
5分間、目の前でトップレスダンスらしい。
「おっ! みんなで行く?」ってなったのに
シェムハザが、後頭部 弾きやがる。くそう...
「今度に取っとく!」って、笑顔で断るんだぜ...
『そろそろ移動する』とか言われて
「またね」って、チケットばら蒔く。
そしたらさぁ、下にも
ここのフロアから、気に入った子 呼べるらしい。
隣に置いとくだけだけどさぁ。ま、チケットで。
『400』
マジか シェムハザ...
またチケットに交換すると、もう店側に渡して
手が空いてる子に降りて来てもらうことにした。
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