第70話

「で……話を進めていいかな?」


 そういったのは既にその場に来ていたスタンレイのリーダー、サイアス=サウスバード。

 そして……


「あ。もしかして玉藻さん?」


 ボクが懐かしい顔を見て顔がほころぶ。


「ボク!生きていたのか?」


「うん。

 玉藻さんの方こそ……」


 ボクがそこまでいうと玉藻が涙目になって尋ねた。


「亜金が……亜金が……」


「僕がどうしたの?」


 すると亜金がゆっくりと現れた。


「え?」


 玉藻が驚く。


「あ、君は……この間の知らない人」


「無事だったのか?亜金……」


 玉藻は混乱しつつも答えを探す。


「あ、亜金くん記憶がないらしい」


 ボクがそういうと玉藻がうなずく。


「……そうか。そうだったのか」


「ふぅ。玉藻くんの目的はひとつクリアだね」


 サイアスがそういうと小さく笑った。


「サイアスさん、ありがとうございます」


 玉藻は涙を流しながらお礼を言った。


「では、話を進めてもいいかいのうぅ?」


 アザゼルがそういうとサイアスがうなずく。


「はい。お願いします」


 そして、はじまる。

 今まで一方的だったテオスの攻撃。

 これから反撃に出る。

 テオスを倒すための大きな前進がはじまる。





「まずはダークグラムのジル。。

 父上のデスペル殿が来なかった理由はあるのかい?」


 アザゼルの問いにジルが答える。


「親父は、こういう会議嫌いだからな。

 全て任せると言ってくれた」


「そうか……

 デスペル殿は元気かいのう?」


「ああ。元気も元気!」


 ジルがゲラゲラと笑う。


「それはよかった。

 ちなみにこちらにいるのはスタンレイのリーダー、サイアス=サウスバード殿だ」


 アザゼルの言葉にボクが驚く。


「えええ!リーダー?

 こんなに若いのに?」


「うむ。

 サイアス殿は、立派なリーダーじゃぞ」


「……すごい」


「そんなことないよ。

 僕は、まだまだ未熟だよ」


 サイアスがそういって苦笑いを浮かべた。


「おいおい。

 作戦会議だろ?ここは、雑談しに来たわけじゃない」


 ジルがそういうとアザゼルがうなずく。


「そうじゃな」


「作戦プランの提案がある。

 まずモトフミのバリアを親父が能力で解除する。

 そのあと俺らがモトフミに一斉攻撃。

 どうだ?」


「いい案じゃが。

 なかなか難しいのぅ」


 アザゼルがそういうとジルがため息混じりにいう。


「そうだな。

 バリアがなくてもアイツは硬いらしいからな。

 なんかこう……

 最高に強い攻撃を放てるやついないのか?

 咎人クラスのやつ」


 ジルがそういうとボクが口を開く。

 言うか言わないか迷った。

 でも、人類の存亡がかかった今。

 迷う理由はない。


「俺、咎人です」


 その場に静かな空気が流れた。

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