第187話 09.私たちの現実

 今日は壮太君とドライブ。


 私も壮太君も最近いろいろ忙しかったから、久しぶりのデート♪


 今日は朝からファッション雑誌用の撮影があって、予定より長引いちゃったから慌てて準備したけど、壮太君との約束の時間に間に合って本当に良かった。


 今、車を運転しているのは壮太君。


 車いすの人でも運転できる特殊な車があって、左手でアクセルとブレーキをコントロールできるスティックが付いている。


 これなら車いすの壮太君でも運転できる。

 やっぱり運転する男の人ってかっこいい。


 壮太君が車の免許を取り、買ったばかりの新車で、一番最初に連れていきたい場所があるって言うのだけど、どこだろう。

 


 到着したのは、横浜にある西洋館だった。


 いったい何があるんだろう…。

 

 でも到着してみてすぐ分かった。


 黄色っぽい壁にオレンジ色の屋根、緑で縁取られた窓、そう、マルゲリータ邸になんとなく似てる!


 良く見つけたなぁ、こんなところ!



 ドアノブをひねると鍵はかかっていない。


「おじゃましまーす。」


 赤っぽいじゅうたん、暖炉、ランプ…、ウフフ、やっぱりどことなくマルゲリータ邸を思いだす。


 懐かしい…。


「さぁ、こっちだよ。付いてきて。」


 車いすを可憐に操り、とあるドアの前でとまった。


 表情をさっするに、このドアを開けてみてって事なんだろうな…。


 コンッコンッ


 よく分からないけど、念のためノックしてみる。


 何の反応も無いので、そーっとドアを開けてみる。


 部屋の中には、ピンク色のバラが壁一面に飾られていていた。


 中にはテーブルも椅子も何もない。


 窓にある壁には、風船を何個も使って作ったハートがある。


「うわぁ、かわいい!」


 部屋全体を眺めてしまう。可愛いお部屋。


 壮太君は部屋の中央まで進んでから、朗らかな笑顔で話し始めた。


「ナナちゃん。今まで僕についてきてくれて、ありがとう。


 実は、パラリンピックの車いすバスケの選手に選ばれたんだ!」


「すごい!17歳でオリンピックに出て、次はパラリンピックだなんて!」


「あと、現実世界でも異世界でも、僕が一番つらい時に逃げずに僕の側に居てくれて、とても感謝しているんだ。


 逃げずに側に居てくれたのは、両親とナナちゃんだけだった…。」


「ど、どうしたの?急に改まって……。」


「今まで、わがまま言ったり子供っぽい姿を見せたり、すごく情けなかったなって思ってる。


 でもパラリンピックも決まって現実世界で大きな一歩を踏み出せたんだ。


 これからは、少しずつ、かっこいい姿をナナちゃんに一番近くで見ていてほしいんだ!」


 壮太君は、ポケットの中から紺色の箱を出した。


 「本当はひざまずいて、かっこよく渡したいけど、できないからこの部屋を準備したんだ。」

 

 壮太君が箱を開けた。


 中には指輪が!


「結婚してほしいんだ。またドミニクみたいな奴が現れて奪われそうになる前に!」


 壮太君が私の手を引いて、左手の薬指に指輪をはめてくれた。


 私は自然と膝立ちになって、壮太君の目と同じ高さで話していた。



 指輪はオステオスペルマムの花の形をしていて、その中心にダイヤモンドがあしらってあった。


 オステオスペルマムは日本では全然はやってないし、ちょっと子どもっぽいよ…。


 でも、私達だけがわかる合言葉みたいで、どんな花よりも嬉しい…。


 感動で涙が…。


「ありがとう。壮太君。オステオスペルマムの剣をもらった時よりも100倍嬉しい…。」


「パラリンピックが終わったら、今度は仕事に専念したいと思ってるんだ。


 異世界にいた時よりも、かっこいい姿は見さられないかもしれないけど…。」


「壮太君は、異世界でも現実世界でも、目標に向かって突き進む人。


 目標に向かって頑張る姿をとても尊敬しているの。


 なんていったって、一つの世界を救ってしまうほどなんだから。」


「僕と結婚してくれるね?」


「もちろん!」


 壮太君は、私の後頭部に手をまわし、私の唇を引き寄せた。



◆◆◆


 壮太君が準備してくれた部屋、とても素敵だったから、帰るのが忍びなくて、オステオスペルマムの指輪を何度も眺めたり、おしゃべりしていたりすると、誰かがドアをノックした。


「あ!来た来た。いいタイミング。どうぞ入って~!」


 壮太君が、笑顔でそう言うので、壮太君が人を呼んだみたい。


 ドアは静かにあいて、見たことがない女の人が入ってきた。


「こんにちは~。ベルギウス、久しぶり~。


 あれ!も、もしかして女優の広樹ナナさんじゃないですか!


 ”前世はエルフ”がキャッチコピーの!


 ネットニュースで二人が付き合ってるって噂は知ってたのだけど、本当だったんだねー!」


 かわいらしい女の子が、突然手を握ってきた。


 誰?


 でもベルギウスって呼んでるって事は異世界の人?


「あ、ど、どうも初めまして。芸能人に会えるなんて思ってなかったんで驚きです。」


 続いて男の人も部屋に入ってきた。


 あ!この人は見たことある!


「あ、あの、もしかして、シルヴィオ様じゃないですか?


 うわぁ、すごい久しぶりです~!なつかしい!」


「あ、あのどなたですか?その名前を知っているという事は…。」


 ふふふ。これはちょっと面白い。


「あ、じゃぁ隣にいるのはもしかして、ティファニーさん?」


「え!私の事も知っているんですか?え、じゃぁ、だ、だれ?」


 二人が考えている顔が面白い!


 たぶんこれを狙って壮太君はこの二人を呼んだんだな。


「シルヴィオさん、今日は私の姿をみても逃げ出さないんですね。にゃん♪」


「にゃんって……、


 ……


 ま、まさか、フローマ?!」


「えええええええええええ!!!!!」


 壮太君が隣でニヤリとしている。


「じゃぁ、異世界で広樹ナナちゃんが僕の汚れたパンツを洗濯してたの?!」


「そうだよ。シルヴィオ。僕のフローマーをこき使いやがって。」


「あれ、ナナちゃん、左手の薬指に指輪が…、もしかして…?」


「そう!僕たち結婚することになったんです。


 お二人にはどうしても報告したくて。」


「ええええええええええええええええええ!


 ベルギウスとフローマーが?!?!


 おめでとーーーーー!」




おわり


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こんにちは。伴瀬リカコです。


ここまで読んでいただいて、どう表現してよいかわからないほど感謝しています。


本当にありがとうございました。


全部で187話、28万文字(2021年5月20日)の小説でした。


今これを読んでくださっている方は、この長い小説を全部読んでくださったのだと思うと、感涙であります。


PVを見る限り0ではないので、読んでくれている方がいらっしゃるのだと思います。


その中でも、途中から毎日コメントをくださった、おだしのぶ様には、どれだけ感謝を伝えても伝えきれないです…、本当に……。

(最終話もコメントいただけると思いますので、そこでもう少し書かせてください。)


あと、ほぼ毎日♥を送っていただいたユニ様、斑猫様、読んでくれている人がいるんだと思うと、本当に励みになりました。

心の底から感謝しております。


明日から、みなさんとのコミュニケーションがなくなるのは、とても寂しいです。


しかし、まだまだカクヨムで皆さん活動されると思いますし、どこかでコメントを拝見する機会もあると思います。


カクヨムって素晴らしいですね。


今後も素敵なカクヨムライフを楽しみましょう♪満喫しましょう♪





ここまで読んでいただいた方に、少し秘密のお知らせなんですが、実は本作品、


漫画化が決定しました!!!!


……

……

……


嘘じゃないです。



自主漫画なんですけどね。てへっ!



恋愛モブ 異世界で

https://www.comico.jp/challenge/articleList.nhn?titleNo=32587


Comicoにあげてみました。


(え、全然秘密じゃないって?

 恥ずかしいので、ここまで読んでくれた方ににお知らせしてます。)


今度はなんだか漫画を描いてみたくなりました。


漫画を描くにあたり、新しい話よりは、今あるこの小説を改良して描いてみようかなと思った次第です。


最後に宣伝で申し訳ありませんでした。


今後の私の主な活動は、上記漫画のComicoになります。

(漫画を描くのは大変で、更新は10日に1回くらいできたらなと思っています。)


新しい小説や新ストーリーをカクヨムで書く予定は、今のところないです。


でもカクヨムは、これからも話の内容の確認に結構アクセスすると思います。


フォローしている小説はそれになりに読むと思ます。


皆様の新小説、新ストーリー、楽しみにしています♪


創作活動って本当に素晴らしいですね♪

今度も、一緒に創作活動、楽しんでいきましょう♪



2021年5月20日

伴瀬リカコ




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【完結】呪われてしまったけど。 伴瀬リカコ @BanseRikako

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