第155話 24.話せるようになりたい
「フローマー、ここだよ。ここでビーバーモンスターと戦ったんだ。」
大きな川が流れる山間の場所。
川が曲がりくねってできた三角地帯が平地になっていて、あそこで戦ったんだろうなと想像がつく。
マルゲリータ様がこの辺りで亡くなったんだ…。
マルゲリータ様のおかげで命拾いして、安心して日々を過ごせるようになった。
感謝してもしきれないマルゲリータ様。
思い出し涙がでてきちゃう。
でも、今はマルゲリータ様の杖を探さなきゃ。
「んにゃー!(あったー!)」
しばらくマルゲリータ様の匂いを探すと、まちがいない!杖を見つけた!
半分くらい土に埋まっているけど、間違いないと思う!
壮太君が川の水で洗って綺麗にした。
「なぁ、フローマー。
これってマリアンネ・ヴァルプルギスって書いてあるけど…。
本当にこれマルゲリータが使っていた杖なの?」
マ、マリアンネ・ヴァルプルギス?!
そ、それってマリアンネお姉ちゃんじゃないの?
壮太君に杖を見せてもらうと、確かにマリアンネ・ヴァルプルギスって書いてあった。
しかもこの杖は、サラクチェの木から作った杖だ。
間違いない、マリアンネお姉ちゃんの杖だ。
でもでも、マルゲリータ様の匂いもばっちり残っている。
マルゲリータ様がこの杖を使っていた事は間違いない。
どうしてマルゲリータ様がマリアンネお姉ちゃんの杖を持っているの?
●●●
私たちは何事もなく、無事にマルゲリータ邸に帰ってきた。
壮太君はヴァルプルギス村の情報を仕入れるためにコルネリアに行ってしまった。
どうせあのティアナってエルフの女の子と会うんでしょっ。
まったく。
ヴァルプルギス村は、コルネリア王国の端っこにあるエルフの村。
場所も知っているし、出現するモンスターも知っているし、聖なる剣とポイズレスがあれば大丈夫だよー!
だって私、ヴァルプルギス村の出身だからー!
コルネリアに情報収集に行かなくても大丈夫だよー!
と、言ってみたけど、「ニャー!」しか聞こえてないみたいで、分かってもらえなかった。
猫って不便っ。
●●●
1年後。
壮太君は一時具合が悪そうだったけど、自分で薬を調合して、最近は元気になってきた。
コルネリア王国に言っている間に、ティアナ王女様と何かあったみたいで、街ではティアナ王女とベルギウスが結婚するんじゃないかって噂まで流れていた。
誰か、その噂を詳しく話してください!
聞きたいような聞きたくないような!
そして、やっとヴァルプルギス村に向けて出発する事になった。
1年間、考えたのだけど、私、エルフに戻りたい!
壮太君と、ちゃんと会話ができるようになりたい…。
猫のままじゃ、話ができない。
人間のナナの姿だと、完全にフラれてしまったので、エルフの私ならやり直せるかも。
壮太くん、エルフの女の子好きそうだし、それに何といっても、私はもともとエルフなのだから!
私が人間になったのも、その後、猫になったのもヴァルプルギス村だった。
強い魔術は術者しか解けないから、ヴァルプルギス村の村長と、そして私のお母さんに会わないといけない。
二人ともヴァルプルギス村にいる。
ヴァルプルギス村に行かなくちゃ!
お母さんは大丈夫だろうけど、村長はどうかな…。
生贄になった私が生きていたら、大問題だろうな…。
でも、とにかく行ってみないとわからない。
それにコルネリアで大臣にまでなったベルギウス(壮太君)と、とても強いドミニクさんが一緒に居るから、なんとかなるかもしれない。
勇気をだして、ヴァルプルギス村へ出発だ!
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