第77話19.マルゲリータの遺言 〜約束を守れてなくて、すみません…僕はもう長くは無いと思います…〜
白魔術が全滅しないということは、これほど重要だとは思わなかった。
状況的に言って、僕の周辺にいた黒魔術2名と僕と白魔術2名以外は、殆ど壊滅状態だった。
だけどその2名の白魔術師が、まずは倒れている白魔術師を回復し、他全員を回復した。
僕たちは全員の無事を確認し、ほっとした。
全員でレオンハルト王国へ帰れる。
ほっとするのもつかの間、僕たちにはいろいろ仕事がある。
ビーバーが築いたダムを壊さなければならない。
それから、先発隊の安否も確認しなければならない。
僕はシルヴィオと一緒に、マルゲリータを探した。
そして、山の中腹にマルゲリータを見つけた。
ビーバーの水の攻撃をもろに食らってしまったのだろう、体の半分が無くなってい て、みるのも苦しいくらい無残な姿だった。
「母さん!大丈夫???」
シルヴィオがマルゲリータと話をしているようだった。
マルゲリータの声は小さく、僕には聞こえなかった。
シルヴィオが泣き叫ぶ中、マルゲリータが僕の方を見た。
声は聞こえなかったけど、口の動きで「ベルギウス」と言っているのがわかったので、僕は顔を近づけた。
「お香…一週間の言いつけは守っているね。」
「もちろんです。マルゲリータ様。」
僕は嘘をついた。
呪われすぎて、現実世界で死にそうで、もう現実世界にも戻れませんなんて、言える状況ではなかった。
「お香の呪いの研究を続けてくれ…もうアガサのような子が、ううっ…二度とお香に呪われないように…。」
マルゲリータはかなり苦しそうだった。
「分かりました。大丈夫です…。」
「ちゃんと生きるんだよ…。」
アガサや僕の事を本気で心配してくれる、おせっかいなおばさん。
アガサと一緒で、マルゲリータも僕に何の見返りもなく、接してくれた人だった。
マルゲリータは息を引き取った。
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