ルカによる福音書偽典

作者 偽教授

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★★★ Excellent!!!

読み始めてから一気に最後まで読み切ってしまいました。
それだけ、この物語は心に訴えかけてくるナニかを持っています。
個人的には途中から、手塚治虫作品の「火の鳥」を読んでいる気分になっていました。

本作は1人称の文体で淡々と進みます。語り部のキャラクターもあるのでしょうが、設定や状況の説明も冷静に語っている分、派手さがあるわけではない。
ですが、その「淡々」とした部分にキャラクターの本性と感情が隠れ潜んでいます。
読み進めて何度背筋が凍ったことか。
キャラクターの個性もどこか憎めないというか、悲惨極まりない事態にも達観してるおかげで彼ら彼女らを俯瞰して見れる。逆にいえば、キャラクター達に思いを馳せるための「余白」でもあり、読者がそれぞれの立場から考える作りとなっています。
最終話はもう眩しいというか、胸がつまりました。

物語の根本にあるのは死生観と宗教だと思いますが、よく考え込まれていて脱帽です。
これは従来のファンタジー作品に囚われず、昨今の異世界転移ブームをも逆手に取った意欲作です。
奇蹟と共に繰り返される人の業と救いを、堪能してください。

★★★ Excellent!!!

正直、異世界転生ものはどちらかと言うと敬遠していた。更に言えば、下手に組み込まれていると途端に安っぽさを感じてしまう宗教の関連用語が出てくると、読み進めるのに慎重になってしまう。

しかし、作者自身が洗礼を受けている(奇しくも私も同様の身である)と明かすのならそれなりの思惑があっての事だろうと読み始めると、冒頭の陰鬱さに惹かれ。重厚で複雑に折り重なった設定ではあったものの、気付けば一気に読んでしまった。
一部と二部のどことなく終始不穏でインモラルで雰囲気、そして盛大に方向転換する三部。綿密に考え抜かれたのであろう、転生、そしてループの真相には脱帽する他ない。

私のように異世界転生ものを敬遠している人がいたら、そのような人にこそ是非読んでみてもらいたい。その圧倒的なストーリーに、ノックアウトされること必至である。

★★★ Excellent!!!

ネグレクトされて餓死したルカは、「他人の願いを叶える」力を得て転生する。
神のいない異世界で教えを説く彼女は、王子とともに魔王討伐に赴くが。

第1部は、現地のカイ王子が、言葉も解らないルカを拾うところから。
王子の視点で「ルカは何者なんだろう?」という謎と、魔王討伐の旅。
シリアスだけど極端にダークでもないファンタジーかと思っていたら。
各部で大分テイストが違います。
(先のレビュアーさんの「第5章は地獄の様相」が気になって読み始めた)

第2部、本当に救いがない……。
一転して第3部は、途中から学園ラブコメみたいなノリに。
いや、背景にある事実はめちゃくちゃ重いんですが。
これがどう展開してあの時点に繋がるのかと、先が気になって気になって。
母と娘。
そしてまた、母と娘。
全ての糸が組み上がって、フィナーレ。

第∞章∞節みたいな日常が、宇宙のどこかに本当にあるといいですね。

★★★ Excellent!!!

お話の途中なのですがとても面白かったので応援の意を込めてレビューさせていただきます。

いわゆる異世界転生ものではあるのですが、転生して能力を手に入れて、魔王の討伐へ赴くというストーリーにツイストを加えられたストーリーラインは、王道展開でありながらも惹きつけられるものがありました。
今作の転生者であるルカのことが、語り部のカイによって客観的に描かれることによって、転生の経緯を知る読者にもミステリアスに見えるよう描かれています。
また、所々に挿入される性描写のシーンがあっさりと簡潔な文章で書かれているのがとても好みでした。
道中自体は敵もありつつも淡々と、それでいてゆっくりと確信に近づく王道的なものなのですが、登場人物の思惑や肉体関係によって少し大人っぽく仕上がっているのが印象的な作品です。

★★★ Excellent!!!

現代日本からの異世界転生もの。主人公はヘタレ中高生でもないし、いきなり剣や魔法や、魔物が跋扈する戦闘に巻き込まれるわけでもない。母親に見捨てられた非力な幼子が主人公であり、いわゆる『俺TUEEEEE』的な展開はない。今のところ。

救いのない世界でたった一人、飢えて死にゆくかに思われた少女は超常の力により別の世界へ導かれる。その声は、神のものかはたまた別の何かのものか。

神という概念の存在しない世界にやってきた少女は、その異世界に何を見出すのか。

この物語に、神は、いるのか。

続きが楽しみです。

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↑の感想を書いたのは、物語公開すぐくらいなのですが、第二部に突入して物凄い展開になって参りました。

特に第五章に至っては地獄の様相を呈しています。

読者を選ぶ作品かもしれませんが、同時に物語の終わりまで見届けたいと思わせる力も持つ強いエネルギーを持った作品です。

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最終話まで読ませて頂きました。

この作品の更新をリアルタイムで拝読させていただいており、何度かこのレビューをはじめから書き直すか迷い、結局は全て残すことに致しました。

自分がこの物語を追いかけて、その時々(レビューを書いたのは序盤と中盤の時だけですが)で感じた気持ちを残しておきたかったからです。

作品内の登場人物が惑い、悩み、時に苦しみ、筆舌に尽くし難いような目に遭い、それでも生きる。

作者の偽教授氏はキリスト教の洗礼を受けている方であり、「神の救いとは何か」、「神の愛とは何か」ということに対する深い考察をもっておられます。その点についてもこの物語の中の強い主題として描かれています。

ですが、この物語に神のような絶対的な存在めいたものは登場しません。

作品を、物語を、そして人生を紡ぐのは人間なのです。その過… 続きを読む