“Made in California ・ 355ml”
カクヨムのコメントなどに「紅蛇様」と書いてくださる人がいる。その言葉を見るたび「あ、そんな様付けされるような人じゃあ……うっ、ただの高校生です……ごめんなさい、ごめんなさい、なんか、違うんです」と、弱気になってしまう。なんとも言えない。別の人になって気分。
一人で買い物に行ったりするたび、自分の周りが「好き」で溢れていく。真っ赤な指輪、オールドファッションな服装に、口紅いっこ。
今日は網タイツを買って、素敵なお店を発見した。あーみー。みりたりー。大好き。店員に「サイズをお探しでしたら出しますけど」って言われて、どう返せばいいのかわからなかった。「ぁ、ぇーと……大丈夫です」笑顔だけど、よくわからない回答をして、店内をもう一周して、お礼を言う。かいわ、むずかしい。給料が入ったら、なんか買おう。あ、でも男物だった気がするな……まぁいっか。
ファッションに性別なんて、存在しない!
今日は海賊みたいな服装をしてみた。ドクロのスカーフを頭に巻いて、左右形の違う(同じ色)のピアスをする。袖部分がひらっと広がっているシャツを着て、アクセサリーを身に付ける。宝物箱に入ってそうなものを、じゃらっじゃらっ。
いつもとは違う、気分になった。楽しい!!!
夜に近づくほど、肌寒くなってくる。彼女が近くに。私の肌を冷たい吐息で、撫で付ける。ふぅ。囁かれるは、帰りなさい。さぁ、お家に帰りなさい。
夜の帳が、徐々に、徐々に、距離を詰めていく。
徐々に、徐々に、徐々に。
星が姿を現わすたび、ふぁさり。身震い。金星が私を見つめては、上着を着る自分に笑い声をかける。くすくす、くすくす。帰ればいいのに。夜である彼女と、同じ言葉を吹きかける。嫌よ。私、まだここにいる。みんなと一緒に、夜を、星を、月を、夢を唄うの。くすくす、くすくす。
愛を囁く恋人たちが、手を繋ぎ、立ち上がる。さぁ、帰ろう。暖かい暖炉へ。さぁ、さぁ、さぁ……ぁ。
眠りに就き、夢を見る。夢を。朝まで踊り明かす、夢を。音楽に乗せ、体を揺らし、浮かぶ唇に微笑を浮かばす。
笑み。
撫でる。
触れる。
暖かさ。
柔らかさ。
蕩ける。
繋がる。
離れる。
見つめる。
笑う。
触れる。
揺れる。
踊り明かす。
さぁ、帰りましょ。朝はいつの間に、あけてしまうから。さぁ、さぁ、さぁ……ぁ。夜は意外と短いのよ。話し合える時間は、ほんのすこし。砂時計が落ち切る前に、鴉が唱える。朝だ。目覚めだ。今日だ。
夜は明けて、目が覚めて。
昨日はさらば、今日はこちら。
そしてまた、眠りに就く。かぁ。
さぁ、月が嫌がる私をなだめ、髪を梳かす。さらり、さらり、眠りに誘う。嫌よ、嫌よ、帰りたくない。私はここで、みんなと、夜を、星を、月を、夢を詠むの。揺蕩う言葉を掬い取り、繋げて星座にしていくの。だから、おねがい。おねがい……おねがぃ、ぃ。
まっくらに。まぶたがおちきり、ぱたり。
眠りの世界に、意識が、泳ぎだす。
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