残念ながら、あの子は私の「彼女」じゃなくて。

 寒くて、寒くて、冬用のマフラーを首に巻きつけて、出掛けなければならなかった。暖かくて、真っ赤な生地に千鳥格子が羽ばたきかけて、こちらを見ながら「そのマフラー似合ってるね。見習い魔女みたいだ」と言ってくれた。「今はまだ準一級ってところかな」まだ、修行中。けど魔女、嬉しい。


 テレポーテーションが現実にあったら、どこに行きたいか、話し合った。

 私はとにかく、暖かいところがいいと思い、友人にも会いたいし、シンガポールと答えた。微妙な顔をされてしまった。私はシンガポールにある、大きい植物園に行きたいの。そこに行けば、もう満足なのです。

 それかチュニジア。料理が美味しいと教えてもらったから。

 今思うと、カンボジアのアンコールワットでもいいな……。(場所ごと指名)


 君は京都が似合わない。とか言ってくるくせに、パリは似合う。というのは、よくわからない。うーん。寒いから、春の日差しが心地よい時に、テレポーテーションしたいねー。と返事してみたり。

 パリか……。パリコレを一度、見てみたいものです。綺麗なお姉さんたちの魅了されたいぜ。


 とか思った、おととい。昨日のことかと思っていたら、まさかの二日前で、驚いている。え、じゃあ昨日は何したっけ……?


 ……。


 あれ……。


 あれれ……。


 あ、そうだ。


 昨日は暗めの服を着て、靴とスカーフをお揃いに。そして極め付けに、隠れたピンク色を靴下に添えたんだよ。そうだそうだ。それでずっと師匠に「みて、いいでしょー!」って見せびらかしていたんだー!

 今日は一番好きな、靴下を履いた。靴下、家の中にいる時は嫌いになるけど、外だと好きになる。変ね。けど、そういうものかも知れない。


 記憶が、本当に駄目で、昨日のお昼に何を食べたか思い出すのも、時間がかかった。何でだろう。疲れているのかな……。わからない。


 そして、私は春が一番好き。服装も、暖かさも、賑わいも、想い出も。

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