この物語の主人公イオリは、他の誰もが使える精霊の力を自分だけが行使できないというハンデを持つ。そのマイナスを克服するためにイオリが選んだ方法は、肉体を鍛えに鍛え精霊に頼らずとも最強を目指すという、ひねくれ者の発想だった。そして、彼はよく叫ぶ。ヒロインに対しても、超越すべき敵に対しても常に強く叫び続ける。こうして明るい気配で進んでいくストーリーは途中、「願いの代償」というタイトルに掲げられたモチーフが明らかになることで、青空に曇天が広がるように雰囲気を次第に変えていく。ヒロイン・シャルのために全てを賭けて挑んでいく主人公と、少女のために全てを企む樹精霊ドライアドの最終決戦。だが、ここでも、ひねくれ者の主人公はひねった考えでシャルのために全てをなげうつ。そして、最後に少女は大きな声で叫んだ。これはそういう物語です。
アダムとイヴは知恵の実を食べた事により、自分たちが裸であることに羞恥を覚えた。
衣服の始まりである。
また、こういった逸話もある。
南米最南端の先住民族であるヤーガン族は、寒さに対応するための手段として、常に全裸で過ごすという結論に達した。
衣服が水を吸うと、より多くの体温が奪われてしまうためだ。逆転の発想である。
つまり、全裸は正義、全裸は最強である。この作品の主人公も全裸だ。服など必要ない。
ゆえに、主人公最強。
私も、これを読んでいるあなたも。服など脱いでしまえば良い!
大丈夫、この物語の舞台は暖かい所だし、登場人物もみな暖かい。
読んでいても、やっぱり暖かいぞ。