人狼の警備員#12

「ノートさん、こんにちは」


 いつもピカピカな靴を履いてユグドラシルを歩いているノートさんを見つけて挨拶をするとノートさんはぺこりと頭を下げた。


「あなた、辞める?」


「お仕事の話ですか?」


 私の問いにノートさんは首を縦に振った。


「どこからそのような噂が流れたのか分かりませんが、私は警備の仕事は辞めませんよ」


「何を、辞める?」


「しいて言うのなら、こうやってユグドラシルを歩いて回りながら不審な人や物がないかを見る仕事ですかね」


 ノートさんは納得したように首を縦に振り、再び質問をして来た。


「次は?」


「来月からプラネタリウム室がオープンするのは知っていますか?」


「知っている」


「私はそこの警備をすることになりました」


「わかった」


 そう言うとノートさんは手を不器用に振りながら行ってしまった。



9月22日 ヘリウム

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