魔法使い見習いのカキ氷屋#12

「ありがとうございました」


 今日最初のお客様でカキ氷屋としての『メトロノーム』では今年最後のお客様が帰って行った後、僕とチョコは仲良く溜息を吐いた。


「これで終わりですね」


「名残惜しいね」


「おや? 始めた当初はカキ氷屋に反対ではありませんでしたか?」


「そうだけど。そうなんだけどさぁ」


 チョコは言葉にしたいけれども言葉に出来ないもどかしさに陥っていた。


「夏が終わったという事は、今度は雪まつりですね」


「まだ秋も終わってないのに気が早すぎじゃない?」


「どんな雪像を作るか考えなくてはいけませんし、設計図も必要になりますからもうそろそろ準備を始めないと遅いくらいですよ」


「じゃあ、また『メトロノーム』はチョコ1人?」


 チョコはとても寂しそうな表情を見せてきた。


「僕の出番はまだ先ですからしばらくは大丈夫ですよ。だから、捨てられた子犬のような顔をしないでもらえますか?」


「してないからっ!」


 理不尽にも僕はチョコに優しく叩かれた。



9月20日 クッキー

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