人狼の警備員#11

「ヘリウム君」


 名前を呼ばれて声がした方へ振り向くとユグドラシルの前オーナー不知火奏吉さんがいた。


「おや! 奏吉さんじゃないか。どうしました?」


「ヘリウム君に頼みたいことがあってね。君の上司には話を通しているから時間をくれないか?」


「少々お待ちください」


 念のため無線で事務所に持ち場を一時的に離れると連絡した私は吸血鬼ヴァンパイア族のオレンジさんが営む喫茶店へ案内された。


「それで、奏吉さん。私に頼みたい事というのは?」


「私が来月からユグドラシルでプラネタリウム室を始めるのは知っているかな?」


「風の噂程度には」


 私がそう言うと、奏吉さんは優しそうな笑顔を見せた。


「ヘリウム君には来月からプラネタリウム室の警備をお願いしたいと思っていてね」


「頼まれれば仕事ですのでお引き受けしないわけには行かないのですが、私の一存では……」


「さっき言っただろう? 君の上司には話を通していると」


「さっきの言葉はそう言う意味でしたか。それでしたらお引き受けするしかありませんね」


「よろしく頼むよ。ヘリウム君」


 奏吉さんは優しい笑顔でコーヒーを飲んだ。



9月15日 ヘリウム

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