魔法使い見習いのカキ氷屋#9

「サファイアさんが来るなんて珍しいですね」


「オーナーは暑い時には必ずと言っても良いほどこの店を訪れているようですが」


「えぇ、さっきも買われて行きましたよ」


 それはそれは嬉しそうにカキ氷を頬張っていたのは記憶に新しい。


「このサファイア凍ったものはあまり食べないのですが、数日ほど前オーナーに『ユグドラシルに働いていながらクッキーくんの所のカキ氷を食べたことがないなんてもったいないよ』と言われましたのでこの季節外れの真夏日にやって来たのですが、カキ氷はまだあるのでしょうか?」


「はい、残っていますよ。とっておきのが」


 僕はにこりと微笑み、サファイアさんにカキ氷を作った。


「シロップの味は?」


「お任せいたします」


「じゃあ、ブルーハワイで」


 気持ちいつもより多めにシロップをかけた僕は青い色のカキ氷をサファイアさんに渡した。


「青い。でも、物は試しですね」


 覚悟を決めたようにそう言ったサファイアさんは一口食べて動きを止めた。


「このサファイア、今までに経験したことのない衝撃を受けていいます!」


「どうですか?」


 僕がそう聞くまでもなくサファイアさんはとても速い勢いでカキ氷を口に詰め込んでいた。



8月30日 クッキー

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