吸血鬼の喫茶店#7
「オーナー、明日も仕事があるだろう?」
「お願いします。今だけですから目を瞑ってください」
嫌な事でもあったのか大きな溜息を吐きながら店にやって来たユグドラシルオーナーの不知火世渡さんはカウンター席の一番端に座り何杯もアイスコーヒーを飲み続けていた。
「ほら、ホットミルクでも飲んで落ち着いたらどうだ?」
私がオーナーにホットミルクを渡すとオーナーはジョッキの生ビールを飲み干すように一気に飲み切って白い口髭を携えた。
「ありがとうございました。少し落ち着きました」
「それは良かったが、オーナーがヤケ酒もといヤケコーヒーをするなんてどうした?」
「冷静になって考えてみると、呆れる話です。自分で引き受けた仕事が上手く行かないだけでむしゃくしゃしてしまって。上手く行かない事なんてあって当たり前なのに」
オーナーは数十秒前の自分を思い出しながら微笑み飲みかけのアイスコーヒーをゆっくりと味わっていた。
5月24日 オレンジ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます