スライムの宅配便#12
「お届け物です」
レッド兄そんな声が聞こえた僕はすぐさま店の前へ出てレッド兄というよりもレッド兄が持って来た荷物を出迎えた。
「待っていたよ。レッド兄!」
「待っていたのはわたしではなくてこの荷物なのだろう?」
レッド兄は僕の考えなどお見通しのようで呆れ気味にそう言った。
「待ちに待っていたのだから仕方ないでしょう」
「その気持ちはわからない事も無いが、まずは受領書にサインしてくれ」
「はいは~い」
興奮のあまりユグドラシルのオーナーであることを忘れた返事をしてしまった僕は受領書にさっさとサインをしてレッド兄が持って来た荷物の中から、手続きが面倒かつ時間が掛かる代わりにどの異世界とも連絡を取ることの出来る特殊な携帯電話を取り出した。
「これでようやくユグドラシルのオーナーとして一人前になれたな」
「レッド兄、まさか泣いているの?」
「そんなわけないだろ。重要な荷物を宅配したから緊張で汗を掻いただけだ。じゃあ、わたしは仕事が残っているから失礼する」
レッド兄は強い口調でそう言って次の配達に行ってしまった。
4月7日 不知火世渡
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