エルフの絵本屋さん#11

 ワタシのお店、絵本屋ローゼンで1日のうち最もお客様が訪れない時間。


「ローズさん、よろしいですか?」


「今行くから待っていて」


 お店の隅で作業をして貰っていたサファイアくんに呼ばれたワタシは自分の声にしては随分と浮ついた声で返事をしていた。


「頼まれていた絵本のPOPポップすべて書き終わりました」


「ちょっと見ても良いかな?」


 ワタシは絵本に興味を持ってもらう要因の一つになるPOPポップがそれぞれの絵本にあったものになっているか確認した。


「サファイアくん、わざわざイラストまで入れてくれたのね」


「ローズさんのイラストには到底及ばないことはわかっていながらもこのサファイア、多くのお客様に絵本の内容を知ってもらえるようそれぞれの絵本のキャラクターを書かせていただきました」


 POPポップに描かれているキャラクターはどれも可愛らしくデフォルメされていて字の読めない小さなお客様の興味を引きそうな予感がした。


「じゃあ、このPOPポップをそれぞれの絵本がある場所に飾ったら休憩にしましょうか」


「わかりました」


 サファイアくんがPOPポップを飾っている間、ワタシはお湯を沸かして紅茶を淹れる準備を始めた。



3月26日 ローズ

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