ユグドラシルの定休日④

 遂にこの日を迎えた。1月最終日、オーナー体験最終日。


「世渡、この1ヶ月どうだった?」


「とても充実していたよ。新しい出会いもあったし、思いがけない再会もあった。直接的にユグドラシルに貢献することも出来たし、間接的にユグドラシルに貢献することも出来た」


 そして僕が一番オーナーを体験して良かったと感じたのは、


「ユグドラシルに来る人たちの笑顔を見られた」


「ここからが本題だ。世渡、1ヶ月オーナーを体験してユグドラシルを継ぐ気にはなったか?」


 僕はゆっくり呼吸を整え、ジッとじいちゃんの目を見つめた。


「じいちゃん、僕にユグドラシルを継がせてください。じいちゃんの時よりも楽しい場所にしてみせるから」


 僕は自分の発言に自分で驚いた。いつもの僕ならきっと、


「じいちゃんの時みたいに楽しい場所に出来るかわからないけれど」


 と言っていただろうから。


「世渡、時に楽しいこと、時に哀しいこと、時に苦しいこと、時に嬉しいこと、時に辛いこと、日々色んなことがあると思う。どんな時もユグドラシルの皆と支え合って世渡の望むユグドラシルを作ってくれ」


 じいちゃんはいつもの様に微笑んだ。



1月31日 不知火世渡

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