世渡のよろず屋③
「世渡!」
レッド兄は朝一番で僕のよろず屋を訪れた。
「待っていたよ、レッド兄」
「その様子だと見つかったみたいだな」
レッド兄のホッとした表情を見た僕は、昨晩見つけたシャープペンをレッド兄に手渡した。
「これだ! これだよ。私のシャープペン」
シャープペンを手に取ったレッド兄はシャープペンに頬ずりをしながら喜んでいた。
「世渡、ありがとう。これは謝礼だ」
レッド兄はそう言うと僕に茶封筒を渡してきた。その中身を恐る恐る確認すると、中には人間界の一万円札が入れられていた。
「レッド兄! お金なんて受け取れないよ」
「じゃあ、私が世渡のよろず屋に頼んで見つけてもらったという事にして受け取ってくれ」
「だとしてもこんなには受け取れないよ」
僕はそう言って茶封筒をレッド兄へ返そうとしたが、レッド兄はそんな僕の手を押し返してきた。
「これは、それだけのいや、それでも足りないくらい大切なものだ」
「それは、そのシャープペンから伝わってきたけれど」
「これは私の嫁さんに初めてもらったプレゼントなんだ」
「そうだったんだ」
「世渡、受け取ってくれ」
僕はそれ以上断ることが出来ず茶封筒を受け取ってしまった。
1月28日 不知火世渡
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