ドワーフのおもちゃ屋さん③
「セン、俺のいない間の店番は頼んだぞ」
俺は弟子であるセンことセンリョクに店番を任せ、ある目的のためにユグドラシルの中央にそびえ立つ大樹の根元に向かった。
「アンザンさん」
根元では世渡が俺の事を待っていた。
「待たせたな。じゃあ、早速行くとするか」
「はい」
俺と世渡は大樹の根元にある異世界ゲートをくぐった。
異世界ゲートをくぐってから僅か一歩、人間界に居た俺たちはエルフ族の住む森のど真ん中に出た。
「例のモノはユリさんの実家に置いてあると言っていたな?」
「はい、こっちです」
ゆっくりとしている時間は無いので俺は世渡の後をついて行き世渡の祖母であるユリさんの実家へと向かった。
「これはまた随分と立派な竹だな」
ユリさんの実家の前には俺が喉から手が出るほど手に入れたかった竹が山のように置かれていた。
「ひいじいちゃんたちは使わないそうなので好きなだけ持って行ってくれて良いらしいですよ」
「そうか。では、ありがたく頂戴しよう」
俺は世渡と共に持てるだけ竹を持った。それでも全体の3割ほどしか持つことは出来なかったが、それでも新しいおもちゃを作る分としては十分な量だった。
エルフの住む森に滞在していた時間は僅か30分ほどであったが、時間の流れが異なる人間界では3時間が経過しており、ユグドラシルは閉店の時間を迎えていた為、俺たちが竹を持って帰還すると仕事を終えたユグドラシルの従業員たちが持ち帰った竹を手分けした俺の店の奥にある工房まで運んでくれた。
さて、この竹でどんなおもちゃを作ろうか。考えれば考えるほど新たな設計図が頭に浮かんでくる。この調子だと明日の午前中はまたセンリョクに店番を任せることになりそうだ。
1月25日 アンザン
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