エルフの絵本屋さん③

「先輩方、ここです。このお店です」


 おやつの時間を少し過ぎた頃、ワタシのお店に4人の若いお客様が来店した。


「本屋。いや、絵本屋か。学校の近くにこんなお店があったなんてな」


「ほら、無駄話をしていないで読み聞かせ会で読む絵本を探すぞ」


 高校生と思われる4人の少年少女は学校の行事か何かで読み聞かせ会を行うようでそれぞれ店内の絵本を見ていた。


 そして10分後。


「みんな、気になった絵本はあったか?」


 ブレザーの下に赤いパーカーを着た少年が3人に尋ね、お店の隅でそれぞれの絵本のプレゼンテーションを始めた。


「あの、この絵本をください」


 それぞれのプレゼンテーションが終わり、4人が選んだ絵本は、青い色のリボンを付けた少女の選んだ浦島太郎でも、緑色のカーディガンを着た少年の選んだ牛若丸でも、黄色のリボンを付けた少女の選んだ金太郎でもなく、赤いパーカーを着た少年の選んだワタシの書いた絵本『4色のカゲ』だった。


「ありがとうございました」


 少年たちが帰って行ったあと、ワタシは思った。


「あの子たちの身に着けていた色、あの絵本に出てくるカゲの色と同じだったな」


 もしかしたら、少年は色に惹かれて選んだのだろうか。ワタシはそんなことを考えながら笑顔になった。



1月22日 ローズ

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