第39話 それぞれの反応
この世界にまだ少ししかいない真冬とさくらは言うまでも無く、この世界で長寿とされているエルフの血を引き継ぎ、長年生きているアルフとフランでさえ知らなかったこの世界の過去に、一同は唖然とする他なかった。
確かに自分の住んでいる世界で、想像だにしないような壮絶なことがあったことに加えて、今まで自分たちエルフと、神聖視されている精霊は種族が近いだけと聞き及んでいたが、その根本から全て崩され、実は祖先に当たると知れば、その驚きは計り知れないだろう。
そんな時間が停止したような雰囲気の中、ウィルは僕のこと……いや僕の中身だろうか、こちらを視ながら何かを見透かしているような瞳で、言葉を発する。
「思いだしたかな?真冬くんの中にいる、アテナさん?」
……ん?僕の中にいるのってもしかして――
「はい、思い出しました。真冬さん……今まで無視してしまい、すいません」
頭に直接響いてきたのでは無く、音として耳から入ってきたその声は、いつも聞いていた女性の声にしては、やけに知性を帯びているというか、神聖な声音に思えた。
「まさかとは思うんだけど、その声はナビー?」
「はい。この世界に来たときからお供させていただいている、ナビー改め、アテナと申します」
アテナって言うと、確か知恵とか戦略を司ってる神様だったよね。それがなんでまた……
次から次へと芋ずる式に明るみに出てくる新事実の整理が追いつかず、頭が猛烈に痛くなってきた頃、同じく整理出来ていないであろうアルフさんが、この話し合いに終止符を打つ。
「勝手なこととは存じますが、話のスケールが大きすぎて少し考える時間が欲しいので、今日のところは、これでお開きにしていただいてもよろしいですか?」
アルフさんのその言葉が契機となり、裁判所のように張り詰めていた緊張感が一瞬にして解け、解散の空気が場に流れ始めた。
「そうだね、今日はこれで解散にしよう。次は……5日後かな。もっと話さなきゃいけないことがあるから。……あ!最後にこれだけは伝えとく。僕はその
ウィルはそう言い括り、この場は解散することになった。
僕とさくらは宿を取っていないので、
本当に
ウィルも一緒に泊まるのかと思いきや、部屋を出るとすぐに用があると、どこかへいってしまった。
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