Chapter8 『遅刻予定のアポイント』 8-9
(千波とメイ、橘が、玄関で見送る。)
(屋敷を出て、聖は外へ歩き出した。)
ゴオッ
シュンッ!
(聖の後姿は、すぐにその場に開いた、空間の扉に飲み込まれて消えた。)
「さぁてっと、お片づけしなくちゃv」
「本部の夏樹のお部屋もちらかってるから、お掃除、メイちゃん手伝ってくれる?」
「はい! もちろんでございます。 千波さま。」
(メイと千波は、玄関を後にした。)
(四本の玄関柱の前で晃は少し歩調を緩め、戻りかけた橘を呼び止める。)
「橘。」
(橘は振り返った。)
「はい。 晃様。」
「お前はどう思う?」
(晃の切れ長の瞳が、深く、黒く。 穏やかな笑顔の橘を捉えた。)
「さぁ・・。 私には、聖様は時折、気まぐれでいらっしゃり。
全てのお気持ちを察する事は致しかねますゆえ。」
「嘘を言うな。 お前には分かっているはずだ。」
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