Chapter5 『美しいもの』 5-3

(たちまち笑顔になると、途端に夏樹は立ち上がった。)


「食事したら、すぐ出かけるよ。」


「彩さん、会議の前に朝食取れないなら。 千波ちゃんに届けてもらえるように


言っておこうか?」


「くすくすっ、ええ。 嬉しいわ。 研究所までお願い。」


「分かった。」


キイッ


パタンッ


(彩は、嬉しそうな夏樹の背中を見送った。)


ピッ カチャンッ


(小机の上、ボタンを操作し。 通信機を手に取った。)


ピルルルッ


カチャッ


[「もしもし。」]


(通信機の向こうで、深い男性の声がした。)


「おはよう。 晃君。」


「聖君に代わってくださる?」


***

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