第26話エピローグ
夜鴉の羽ばたく音がする。武は部屋の窓を開ける。そこには鴉男が座っていた。
「ようやく全部思い出したんだねえ」
鴉男がにこにこ笑う。
「お前は?」
鴉男の顔が、武自身の顔になって行く。そして、梅子の顔にも、黒の顔にも。
「人の想いというのは不思議だね。私を生み出したのも、人の想いだ」
武の顔した鴉男の手が、武の頬に触れる。
「そうか、お前は」
鴉男は、武に口づけた。
武は両手を伸ばして、鴉男にすがりつく。
「消えたくて仕方がない自分自身だったんだな」
そのまま二人は部屋の中から消えた。
言葉にしなければ、伝わらない。 赤沼たぬき @duhiyutou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます