エピローグ2話
明里とクラリス、そして千恵と咲希を加えた四人を先頭に、人々は改めて舗装され始めた道を歩く。
「私も、なんだかすごいことになっちゃったなーっていうのが……」
「うん、私もビックリしたよ。思わず大声あげちゃってさ」
「明里ちゃん、なんというか……ほんと、逞しくなったというか」
「ええっ!? そ、そんなに……?」
年単位で会えなかった友達との再会に、三人は会話の華を咲かせる。
とても楽しそうに話す明里の表情は、側に居続けたクラリスでも初めて見るような物だった。
「そういえば、クラリスさん……だったっけ?」
「ああ、私の名前はクラリス。明里と……明里を護る者だ」
「へぇ……」
千恵は、クラリスの現代離れしたその格好をジロジロと観察する。
中世やファンタジーで見るような格好ではあるが、見れば見るほどとても似合っていると思える上に、その美貌が時代との似つかわしくなさを完全に破壊していると心から感じた。
「ん、何か付いているか?」
「いや、現代に所謂女騎士ってすごく珍しいなーって……ああいや! 別に似合ってないとか変だとかそういうわけじゃなくて! その、なんというか……」
思わず失礼な事を言ってしまったとあたふたし始めた咲希に、クラリスは優しい口調で返答する。
「いや、確かに私も時代に合っていないなとは思っている。でも、私はこれは一番落ち着くんだ。だからそんなに気にすることはない」
「あ、ありがとうございます……」
その高潔さが溢れるような優しい返しに、思わずドキっとしながらお礼を言ってしまう。
「ふふ、前だったら私は誇り高い騎士で~とか言ってそうですよね」
「なっ……あ、明里……否定出来ないのが……」
横から入る明里の茶々に、クラリスは思わずたじろいで頬を赤くした。
「ふふ……明里ちゃん、すごく良い人と出会ったんだね」
「えっ?」
「だって、こんなに楽しそうだし、クラリスさんと話してる時の明里ちゃん、とっても嬉しそうだもん」
周囲にその様な指摘を行う人物が長らくいなかった為か、いきなり突き付けられたナイフのように鋭い言葉に、思わず明里は顔を真っ赤にする。
「明里も人の事言えないじゃないか……」
「さ、咲希ちゃん~!」
恥ずかしそうにぽこぽこと、小さくパンチをお返しする。
そんな平和な日常のような光景に、四人はとても和やかな雰囲気となった。
「そういえば、明里とクラリスさんって、どんな風に出会ったの?」
「えっ!? えっと……」
千恵から、二人の出会いについて話題を振られた途端、二人はお互いに目を反らした。
「あれ、どうしたの二人とも? 聞かせてよ~」
「あっ、私も聞きたいです!」
咲希もこの話題に食い付き、二人は身体を揺さぶられながらどうしようかと考えていた。
「えっと……引かない?」
「もちろんだよ! 出会いの話で引くわけないじゃん!」
「ついでに、出来れば今日までどんな事があったのかも知りたいな!」
二人の目はどんどん輝きを増し、さながら憧れのスポーツ選手に話を聞き出すようなそんな眼差しになっていた。
「うーん、わかったよ。クラリスさんは大丈夫ですか?」
「……そうだな。こうやって明里の友達に頼まれては、断るわけにもいくまい」
「「やったーーー!!」」
二人は両手を合わせて、飛び跳ねて喜んだ。
「まあ目的地まで距離もあるし、それまで話すよ。クラリスさんと出会ったのはね……」
それから明里は、二人にクラリスの話と補足を交えて、目的地まで昔話の花道を続けた。
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