第19話 手紙

レイが出国して半年。

それは日本からの手紙だった。

宛先はレイ。

送り主はミオではなく、誰とも書かれていなかった。


内容は、ミオが自殺したことを伝えるものだった。

詳しい説明はなく、それだけだった。


レイはただただ狼狽えた。

何があっても、ミオが自殺なんてするはずがないと思っていた。

しかし、ミオはレイを知ろうとしていたのに対し、レイがミオを知ろうと努力したことはほとんどなかった。

自分はミオのことをよく知らないということを、激しく後悔した。


レイは真相を知るべく、トーマス教授に帰国の許可を求めたが、許されなかった。

レイは忘れていた。

レイが万物の理論を完成させるまで、ここから抜け出せないシステムになっているということを。


「超大統一理論の完成を……黙っててよかった……!」


レイは他の研究者たちに、万物の理論をどう使われるのか不安だった。

万物の理論は、自分のために……ミオのために、使うことに決めた。

研究成果は小出しにし、自分だけの研究を進めた。


ついに、理論は完成する。

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